ジャパニーズウイスキー入門
- 2024年12月2日
- 2024年12月号掲載
アイルランド、スコットランド、アメリカ、カナダと並び「世界5大ウイスキー」に名を連ねるジャパニーズウイスキー。近年ますます価値が高まっているジャパニーズウイスキーの魅力と嗜み方を、ウイスキー初心者でも分かりやすいように解説する。
ジャパニーズウイスキー
人気はどこから始まった?
ウイスキー好きならJapanese Whiskeyなしには語れない。
それほどまでにジャパニーズウイスキーの知名度は世界的に確立されており、近年におけるますますの人気ぶりは目を見張るほどだ。
そもそもウイスキーブームは、クラフトディスティラリーの台頭がきっかけとされている。クラフトディスティラリーに明確な定義はないが、主に手造りでウイスキーの生産を行う小規模の蒸留所や、原料や場所、工程にこだわりをもって生産する蒸留所のことを指す。もともとはスコットランドやアイルランドで造られていたウイスキーだが、入植者とともにその醸造方法はアメリカに伝えられ、ケンタッキー州やテネシー州などでバーボンウイスキーが大量生産されるようになった。これに対抗する形でクラフトディスティラリー産業が誕生したといわれており、いまではアメリカ国内に2000以上も蒸留所が存在する。アメリカで始まったクラフトディスティラリーの波はその後日本にも訪れ、現在は日本国内にも100以上の蒸留所がある。
ジャパニーズウイスキーが世界で注目を集めるきっかけとなったのは、2001年のこと。イギリスの雑誌『WHISKY Magazine』が初めて開催した「Best of the Best」というウイスキーのコンテストで、ニッカウヰスキーの「シングルカクス余市10年」が総合1位を、サントリーの「響21年」が2位を受賞した。これを機に日本のウイスキーは世界的に品質が認められ、その名を知らしめることとなった。2020年の世界品評会(World Whiskies Award 2020)ではサントリーの「白州25年」がWorld’s best single malt部門で世界最高賞を受賞、World’s best blended limited release部門でベンチャーズウイスキーの「イチローズモルト モルト&グレーン ジャパニーズ ブレンデッド ウイスキー リミテッド エディション2020」、World’s best grain部門でキリンディスティラリーの「シングルグレーンウイスキー富士30年」がそれぞれ世界最高賞を受賞し、日本のクラフトディスティラリーもその品質が認められた。以降、世界におけるジャパニーズウイスキーの需要は一気に右肩上がりに上昇し続けている。
ジャパニーズウイスキーの定義
スコッチやアイリッシュ、アメリカンウイスキーにはそれと認められる定義が定められているが、ジャパニーズウイスキーにはこれまで明確な定義が存在していなかった。そのため、日本産ではないジャパニーズウイスキーの横行は大きな問題として提起されていた。そこで2021年2月、洋酒製造メーカー10社が加盟する日本洋酒酒造組合はジャパニーズウイスキーの定義を発表し、その製造上の明確な条件を以下の通り示した。
ジャパニーズウイスキーの表示に関する定義
- 原料として用いてよいのは麦芽、穀類、日本国内で採水された水のみ。仕込みには必ず麦芽を使用すること。
- 糖化、発酵、蒸留は日本国内の蒸留所で行うこと。
- 蒸留の留出時のアルコール度数は95%未満とする。
- 熟成は容量700リットル以下の木製樽に詰めて、樽詰め日の翌日から起算して3年以上を日本国内において行うこと。
- 瓶詰めは日本国内において容器詰めし、その場合のアルコール度数は40%以上とすること。
- 瓶詰め(容器詰め)に際して、色調整のためのカラメルの使用は認められる。
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