【ニューヨーク不動産最前線】NYCもついに!有機廃棄物の分別が義務化へ

日本では当たり前のことですが、なんとニューヨーク市でもついに、有機廃棄物を通常のゴミと分別することが義務付けられました。

実はこれまで、ビンや缶などはリサイクル用として分別されていたものの、それ以外のゴミはひとまとめにして捨てることが許されていました。ゴミの分別が厳格な日本からすると、信じられない話かもしれませんね。

しかし、2023年に市議会が新たな政策を可決し、2025年までにニューヨーク市民全員が食品廃棄物や有機物を他のゴミと分け、専用のゴミ箱に入れることが義務化されました。この政策は段階的に導入され、まずブルックリンとクイーンズで開始。続いて2024年3月にはブロンクスとスタテンアイランド、そして2024年10月からはマンハッタンでも施行されています。

この取り組みは、2030年の気候変動目標達成の一環で、リサイクル可能な物質と有機物を廃棄物から100%除去することを目指しています。すでに市から提供された専用のゴミ箱が各ビルに設置されているのですが、すべての住民がすぐに対応できるわけではなく、まだ知らない人もいて、完全に定着するまでには時間がかかりそうです。そのため、ビルのボードミーティングでも何度もリマインドが行われています。

先日、私のビルのボードミーティングでも、「このタイプのコンポスト缶がAmazonでこのくらいの値段で売られている」といった具体的な情報や、「生ゴミを入れる際は専用の袋を使うように」といった基本的な説明がありました。これまでは移行期間ということで多少の違反は見逃されてきましたが、2024年4月からは違反者に罰金が科されることになります。

とはいえ、地下鉄の無賃乗車がいくら取り締まってもなくならず、さらにはジェイウォーク(信号無視)すら法律で認められてしまうこの街で、ニューヨーカーたちがどれほどこのゴミ分別を徹底できるのかは疑問が残ります。それでも、こうして世界は少しずつ前進しているのだなと感じます。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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