なるほど!海外居住者が行う日本の親の相続手続~⑤法事と墓じまい〜

前回に続き、日本の親が亡くなった後に行うべき各種手続きのうち、相続以外の葬儀・法事、実家の整理・処分、お墓について紹介します。今回は仏式における法事と墓じまいについてです。

前回のコラム:
2025/10/7 相続手続④葬儀・埋葬・実家の処分

日本の親が亡くなり、葬儀、相続など緊急性が求められる手続きが終わると安心してしまい、忙しさもあってその後の法要やお墓の管理などは後回しにしがちです。それでも特に問題になることはありませんが、日本に兄弟姉妹がなく家の継承者が自分だけという場合はいずれ対処しなければなりません。うっかりそのまま放置しておくと将来自分の子が対処しなければならず、それこそ日本のことを何も知らない世代ですから、おそらく何もできないでしょう。したがって、今のうちにある程度知識をつけ、日本にいる(兄弟姉妹以外の)親族にも配慮しながら早期の対応が望まれます。

1.法事

下記は死亡直後から行う仏式の法要手続きを時間経過順に列記したものです。(4)までは一連の葬儀の際にまとめて行うことが多いですが、人によっては(5)以降については何もしないというケースもあるかもしれません。法事は親族、関係者を招き僧侶にお経を唱えてもらう儀式であることから、海外居住者にとってはやや負担が大きいためです。

<数日後>
(1) 通夜(仮通夜):告別式の前に親族等身近な人だけで行う
(2) 告別式:親族、知人、仕事関係者などで亡くなった故人を見送る
(3) 出棺/火葬:告別式の後、火葬場で火葬する
(4) 初七日:もともとは死亡後七日目に行う法要ですが、火葬後に葬儀場で行うのが一般的

<その後の節目ごとの法要>
(5) 四十九日(49日後)
(6) 一周忌(1年後)※一回忌ではありません
(7) 三回忌(2年後)
(8) 七回忌(6年後)
(9) 十三回忌(12年後)
(10) 二十三回忌(22年後)
(11) 二十七回忌(26年後)
(12) 三十三回忌(32年後)
(13) 三十七回忌(36年後)
(14) 四十三回忌(42年後)
(15) 四十七回忌(46年後)
(16) 五十回忌(49年後)
(17) 百回忌(99年後)

2.墓じまい

家墓(先祖や親が埋葬されている墓)については祭祀財産といって名義人のある財産となります。したがって名義人は管理料の支払いを含めお墓を維持する必要があります。しかし、海外居住の自分では墓参りもできず管理が難しいと判断すれば、墓じまいの手続きを選択することもできます。

墓じまいといってもなくす(撤去する)のではなく、手続き上は他の墓へ移す改葬が一般的です。家墓のような個別の墓から管理者(寺院、霊園)側が供養してくれる永代供養へ移設します。その他宗教・宗派にこだわらない、生前の親の希望などから自然葬(樹木葬、海洋葬)を選択するケースもあります。なお、改葬は勝手にできるものではなく、手続きには下記の許可証が必要となります。

・改葬許可申請書:役所に提出。墓地管理者の署名・捺印が必要
・埋葬証明書:現在の墓地の管理者が発行
・受入証明書:改葬先の霊園や寺院が発行

実際の手続きは以下の流れになります。

①墓地の管理者に相談
寺院墓地(菩提寺)の場合は「離檀料」が必要になることもある

②改葬先を決める
永代供養墓や合葬墓など、新しい納骨先を決定し契約する。(これまでの墓地と提携している場合が多い)

③改葬許可申請
市区町村役場に「改葬許可申請書」を提出。許可証を取得

④遺骨の取り出し
石屋(石材店)を手配し、墓を開けて遺骨を取り出す

⑤墓石の撤去・更地化
墓を撤去し、更地に戻す(費用がかかる)

⑥新しい場所に納骨
永代供養墓などに納骨し、供養してもらう。既存の寺院、霊園、 またはアクセスがよい場所で新規にさがす(ネットで検索可能)
※民間・公営霊園では、霊園、石屋が墓じまいのパッケージを提供するケースあり。上記の手続きをすべて代行してくれる

いかがでしょうか?こうした日本の慣習については親族からアドバイスを受ける機会が多いと思いますが、海外での生活が長くなるとなかなかそうした機会もありません。親の世代が亡くなった後は一度考えてみることをお勧めします。

本コラムの英訳版/English translated version of this Column

http://www.life-mates.jp/Eng_Column8

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、介護・葬儀・相続など日本在住の老親のサポート)を行う。

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