なるほど!海外居住者が行う日本の親の相続手続~④葬儀・埋葬・実家の処分〜

親が亡くなる際の重要手続として多くの人の頭に浮かぶのは、遺産の整理、相続税の申告、相続財産の継承ではないでしょうか?大事なお金のことですから当然です。しかしその他にも行うべき手続きはあります。亡くなった親の葬儀・埋葬、実家の整理・処分、家の墓の管理など少なくありません。これらの手続き方法についてはなんとなく理解はしているものの、普段なじみのないことですので、正しく理解している人はあまりいないのではないでしょうか?

そこで今回は日本の親が亡くなった後に行うべき各種手続きのうち、相続以外の葬儀・法事、実家の整理・処分、お墓について紹介します(今回と、後日もう1回に分けて紹介します)。

なお、本コラムシリーズでは、海外居住者のための、日本の親が亡くなった時の必要手続き(死後事務手続き)について、相続を中心に重要な手続きを紹介していますので、あわせてご参照ください。

1.葬儀

死亡直後に行う葬儀については、前述の過去のコラムのうち、2022年8月21日「突然の日本の親の訃報、何をすればいい?」をご参照下さい。ここでは死亡届や葬儀など、死亡直後の手続きについて紹介しています。大事なことは、これら手続きは遺体の搬送、火葬、埋葬、葬儀など特殊な作業ですので、通常は専門の葬儀業者に依頼することです。そしてその際に葬儀業者の選定をしっかり行うことです。葬儀にかかわる手続きでは料金トラブルが発生する可能性があるので、ある程度の知識をつけた上で業者選定を行ないたいものです。

2.埋葬(お墓)

すでに先祖や祖父母が埋葬されている家の墓(家墓)があり、父親(または母親)が長子であれば同じ墓に埋葬されます。(長男以外は相談して決定)

ここで簡単に墓について紹介しましょう。埋葬されている墓(墓地)は名義人(所有者)が登録された一種の財産となります。ただし祭祀財産都と言って預貯金や不動産のような相続税の対象にはなりません。墓の種類としては埋葬場所や埋葬方法によって以下に分類されます。

1) 墓地(埋葬場所)による分類

●寺院墓地
お寺の敷地に埋葬します。一般的に宗教・宗派の制限があります。菩提寺は一家先祖代々のお墓があるお寺のことで、その寺や宗派に属し檀家となっています。

●民間霊園
宗教法人等から委託された民間企業が管理運営する霊園です。

●公営霊園
都道府県、市町村などの自治体が管理、運営する霊園です。宗教・宗派を問わず民間霊園より料金は安いです。

2) 埋葬(供養)による分類

●家墓
先祖代々の遺骨が納められている一般的なお墓のことです。

●永代供養
長期間の間、亡くなった人を供養する行為のことですが、実際は残され遺族が事情で供養できない場合に、遺族に代わって霊園や寺院が遺骨の管理・供養を行うことで、以下のタイプがあります。

・納骨堂:棚、ロッカーなど室内に遺骨の入った骨壺を納める形態。骨壺での供養には期限があり、その後は合葬される
・合葬墓/合祀墓:遺骨を骨壺から取り出し他の遺骨と一緒に埋葬

●自然葬
遺灰を墓以外の場所に埋めたり海洋に撒くなど自然に回帰させる形態で、樹木葬、海洋葬などがあります。

火葬を終えた遺骨は適切な時期に埋葬(納骨)します。納骨は単に墓の中に納めるだけでなく、納骨式としての儀式ですので、事前に石材店に依頼して墓石に戒名の彫刻や、お寺への当日の供養、親族等の招待などの準備を行います。長く海外居住していると、生前親からお寺や利用している石材店の話を聞いていないケースが多いので、こうした準備一つとっても手間がかかるかもしれません。

3.実家の処分

親が住んでいた実家についてはまず不動産の相続登記(相続人への所有権の移転)を行うことになりますが、その後他の同居人や今後の居住を希望する親族等がいなければ、売却、貸出、古ければ解体などの処分が必要です。

その際に家財も処分(売却、親族で引取り、廃棄)することになりますが、家に仏壇、位牌がある場合は(長男など)家の継承者が引き取ります。海外居住で、日本に継承者となる兄弟姉妹が

いない場合は、ご自身で引き取ることもできますが、難しい場合や将来海外暮らしの子の世代が困らないよう今の内に処分する選択もできます。仏壇や位牌の処分はそのまま廃棄物扱いすることもできますが、やはり日本の慣習に従い供養をしたうえでお焚き上げをするのが一般的です。

お焚き上げは家の墓がある寺や霊園(提携先の寺で)でも取り扱いをしています。最近では家の墓以外の寺でも、インターネット経由で仏壇、位牌を箱詰めして郵送できるサービスも全国対応で行われています。

また長年親が住んでいた実家となれば築30~40年というケースも少なくないでしょう。劣化が激しく売却の可能性が低ければ解体工事を行うことになりますが、当時は法規制されていなかったアスベスト使用時の取扱いや、厳密に行われていなかった土地の隣地境界線にかかわる測量などが発生しますので、想定以上の時間や費用がかかることも知っておくとよいでしょう。

本コラムの英訳版/English translated version of this Column

http://www.life-mates.jp/Eng_Column7

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、介護・葬儀・相続など日本在住の老親のサポート)を行う。

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