【ニューヨーク不動産最前線】マンションタックスをご存じですか?

これは、一定の金額を超える物件を購入する際に支払う税金のことです。ニューヨーク市(NYC)では、購入金額が100万ドルを超えるとマンションタックスが発生します。ちなみに、英語で「マンション」と言うと、大邸宅や超高級物件を指します*。NYCのマンションタックスは、もともと富裕層からの税収を狙った「金持ち税」として導入されました。

私がNYCでこの業界に入った1995年当時、マンハッタンでドアマン付き高級コンドミニアムの1ベッドルーム(1BR)は30万~40万ドル、2ベッドルーム(2BR)でも50万ドルほどで購入できる時代でした。100万ドルもする物件を購入できる人は、本当に富裕層と認識されていたので、マンションタックスについて聞いたときも「なるほど、そういうものか」と納得したのを覚えています。当時は、私自身やお客様にとっては、ほとんど関係のない話だと感じていました。

その頃、100万ドルを超える物件自体が非常に少なく、取引件数も少なかったため、100万ドルを超える物件には一律1%が課税されていました。しかし、物件価格の上昇とともに、マンションタックスの割合も引き上げられています。現在(2024年)、NYCのマンションタックスは物件の金額に応じて以下のように決められています。

現在(2024年第2四半期)のNYCにおける1BRの購入金額の中央値は、ほぼ100万ドルです。エリアによっては140万ドルを超えるところもあるほどです(出典:COMPASS Q2 Manhattan Market Report)。もはや100万ドルの物件が「マンション*」と言えるのでしょうか。ちなみに、マンションタックスを回避する唯一の方法は、99万999ドル以下の物件を購入することです。

今では、普通の市民にとっても100万ドル以下の1BRを探すのは難しい選択肢になっています。それにもかかわらず、100万ドルの物件に対してマンションタックスを課すのは、時代にそぐわない制度ではないでしょうか。バイヤーは、ただでさえ高額な物件を購入するのに加え、さらに余分な税金を支払わなければならないのです。そろそろマンションタックスの課税対象となる物件の最低金額を見直す時期に来ているのではないでしょうか。

*いわゆる日本でのマンションは英語ではアパートとなります。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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