アドビ、パッケージ版の開発を打ち切り 〜クラウド版に完全移行
- 2013年5月7日
- ハイテク情報
デザイン・ソフトウェア大手アドビ・システムズ(Adobe Systems)は、パッケージド・ソフトウェア(ディスク版)の販売を打ち切り、今後はクラウド・サービスに完全移行する方針を打ち出した。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アドビは、現在提供しているクリエイティブ・スイート(Creative Suite=CS)6.0以後のパッケージ版を開発せず、同社のクラウド・サービス「アドビ・クリエイティブ・クラウド」経由でCSの更新版を提供していく。6.0版に関しては販売を継続すると同時に製品サポートも続ける。
アドビは、CSの完全クラウド移行にともない、「クリエイティブ・クラウド」を意味する「CC」を各製品名の後ろに追加する。
同社はまた、現行利用者に対し、クラウド版への移行を促すために、初年度の利用料金を40%割り引いて提供する。その後、個人利用者は月額50ドルを支払い、企業利用者は、クラウド・ストレージや管理ツールを含めて利用者一人あたり月額70ドルを支払う。
同社によると、クリエイティブ・クラウドの利用者数は50万人で、毎週1万2000人ずつ増えている。同社は、2015年度末までに利用者が400万人に達すると予想。
クラウド版CSにすでに移行済みのヴァーティゴ・ソフトウェア(Vertigo Software)のデザイン部門副社長トニー・ソコロウスキー氏は、長期的にみると、パッケージ版より高い費用を払うことになるが、月額の定額使用料を支払うほうが予算を組みやすいと話す。
アドビのシャンタヌ・ナラエン最高経営責任者(CEO)によると、プロのクリエイターは、新機能が随時追加されるクラウド版を好む。また、価格については、フリーランスから大企業まで対応した柔軟な価格設定を用意している。
アドビにとって、クラウドへの完全移行にはいくつかの利点がある。まず、毎年発生する定期的な更新から解放され、アドビの技術者らは新技術や新機能を随時追加できる。ディスク版(パッケージ版)の梱包や製品供給、流通にかかるコストも削減できる。
クリエイティブ・クラウドの最新版は6月17日から利用できるようになる。
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