スウェーデン、電力消費税率引き下げを検討 〜 データ・センター誘致に本腰

 欧州で向こう10年間にデータ・センター建設用地の需要増が予想されていることを受け、スウェーデン政府はデータ・センター事業者に対する減税措置を検討している。

 データ・センター・ノーレッジ誌によると、スウェーデンで新設された政府委員会は、データ・センター向け電力に対する税金を現在の1キロワット時あたり20セントから0.5セントに引き下げる大型減税の実現可能性について調査を開始する。スウェーデンへの事業誘致を手掛けるビジネス・スウェーデン(Business Sweden)社が明らかにした。

 また、スウェーデンの新聞はエネルギー税見直しの狙いについて、スカンジナビアの近隣諸国に対する競争力を高めるため、という同国のアンダーシュ・ボリ財務省の談話を紹介した。

 スカンジナビア地域では寒冷気候によるほぼ無料の空冷が可能という利点に加えて、豊富な水力発電エネルギーを比較的低価格で入手できることから、ここ数年にデータ・センター建設が増えている。

 フェイスブック(Facebook)は約1年前に、スウェーデンのルレア市でデータ・センターの稼動を開始し、2014年3月には同じ敷地内に2軒目の建設に着工した。

 スウェーデンの通信技術大手エリクソン(Ericsson)は2013年に、向こう5年間に同国でデータ・センター2軒を建設する計画を明らかにした。ロンドン拠点のデータ・センター卸し事業者のハイドロ66(Hydro66)も、スウェーデンでの最新施設稼動を発表したばかりだ。

 グーグル(Google)が2011年にフィンランドでデータ・センターを稼動した際には、スウェーデンの新聞は同国が立地場所に選ばれなかった理由として、税金が高いことを挙げていた。

 ビジネス・スウェーデンによると、スウェーデン政府による税制見直しはエネルギー税に限らず、法人税を現在の22%から20%に下げることも検討されている。

 ちなみに、日本の法人実効税率は約35%で外国とくらべて非常に高く、それが国際競争力の低さの一因と指摘されており、法人税率を20%台中盤に引き下げる議論が最近強まっている。

 しかし、代替財源を確保しないままの税率引き下げは税収減による負債増を助長するほか、法人税率引き下げが大企業だけを優遇するという反発も強い。

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