給電業界を変えるグーグルの野心 〜 効率化ソフトウェアや機器開発に注力

 グーグル(Google)は、電力会社の給電支援サービス市場に進出しようとしている。米国内の同市場は3637億ドル規模と言われる。

 ブルームバーグによると、グーグルは現在、送電線を筆頭とする給電基盤設備を管理するソフトウェアとハードウェアを開発する初期段階にある。

 開発を担当するのは、同社エネルギー部門のアルン・マジュムダー副社長が率いる「エネルギーアクセス(EnergyAccess)」と呼ばれる部署。匿名希望の関係者が明かした。しかし、具体的な事業内容は非公開のままだ。

 100年以上の歴史を持つ電力業界は、電力の管理と生産に対する需要が変化しているにもかかわらず対応に苦しんでいる。太陽や風力といった再生可能エネルギー由来の電力が増えている現在、従来の給電網(配電網)は今以上の柔軟性と効率性が求められている。

 電力管理サービス分野では、グーグルのほかにもABBやシーメンス、アルストムといった欧州重電メーカーが、ソーラー電力と電力需要調整(需要反応)技術を電力会社に提供している。

 グーグルは、グーグル・グラスや自動運転車(自律走行車)、医療関連と多彩な分野に投資しながら、環境対応発電や省電力化技術への投資も大幅に拡大させている。

 同社は、今年初めにもスマート室温調節器メーカーのネスト・ラブズ(Nest Labs)を32億ドルで買収したほか、ニュージャージー州への給電を支援する事業アトランティック・グリッド・ディベロップメントにも資本参加している。

 環境対応発電事業では、グーグルはオレゴン州の風力発電をはじめ国内外ですでに10億ドルを投資しており、発電分野の知識と経験は蓄積されている。その結果、複雑になる一方の電力市場で大手電力会社に電力管理の手助けをするまでに成長したとしても不思議ではない。

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