IBM、クラウド新興企業支援策を立ち上げ 〜 グーグルやマイクロソフトに追随

 グーグル(Google)やマイクロソフト(Microsoft)、アマゾン(Amazon)といった米IT大手らは過去2年ほどのあいだに、インドやそのほかの地域における急成長中の新興企業を取り込むことに注力している。

 その方法はソフトウェアの無償提供や人材および企業育成、販促支援、投資家紹介、ときとして出資といったかたちで実施されている。

 HTメディアによると、IBMは10日、米IT大手のそういった新興企業取り込み作戦を踏襲し、IBMのクラウド電算技術を使える最高12万ドルのクレジット(月1万ドル、12ヵ月が上限)をはじめ、世界各地に散在するIBMの顧客企業群やコンサルタント、技術革新センターへのアクセスを世界中の優秀な新興企業および起業家たちに提供する制度を立ち上げた。

 同制度は、「クラウド新興企業のためのIBM世界起業家プログラム(IBM Global Entrepreneur Program for Cloud Start-ups)」と名付けられ、IBMの幅広い法人向けクラウド製品群や、オープンAPI(application programming interfaces)を基盤にした第三者開発のクラウド・サービス群へのアクセスを提供し、それらの新興企業が開発したソリューションおよび技術の開発や商業化、販促を支援する。

 たとえば、起業家や新興企業は、IBMのクラウド・インフラストラクチャーであるソフトレイヤー(SoftLayer)のほか、クラウド・アプリケーション開発プラットフォームのブルーミックス(Bluemix)を最高12万ドル分まで利用して開発や販促を強化できる。

 IBM世界起業家プログラムの狙いは、ほかの米IT大手と同様、成長中の新興企業に自社技術を無償提供することで自社技術を土台にしたクラウド製品の生態系を拡充し、その勢力を伸ばすことにある。

 それらの米IT大手らはクラウド技術の大手ではあるが、クラウド技術以外に複数の中核事業を持っており、大規模であるがゆえに、めまぐるしく進化する最前線の技術動向に必ずしも追いついているわけではなく、対応や開発速度も遅れがちとなる。

 一方、世界中に散らばる無数の新興企業の多くは、新たな革新的ソリューション群を次から次に開発し発表しているが、知名度や資金力、販促力に限界があるため埋もれることも多い。

 そういった新興企業の革新力を取り込むことで、自社のプラットフォームの利用企業を増やすと同時に、それを基盤とした製品群の生態系を拡充することで、自社技術を土台としたクラウド・ソリューション群を発掘および支援し、競合各社に対する競争力を強化するというのが、米IT大手各社の狙いでもある。

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