蓄電システムの寿命を長期化する方法 〜 EU支援の研究開発組織が成果を発表
- 2015年7月13日
- 環境ビジネス
欧州連合(EU)が資金援助するアバターライフ(ABattRelife )プロジェクトで、蓄電システムの寿命を長期化する方法の結論が発表された。
グリーンテック・メディアによると、温度を上げて負荷と電圧を制限することで、リチウムイオン電池の寿命を長くすることができる一方、グラファイトの負極にダメージが生じると、パフォーマンスが著しく落ちることが分かった。この研究プロジェクトは、過去3年かけて行われてきた。
「負荷と電圧を制限し、温度を35℃前後に上げることで、電池の劣化を遅らせることができる。同プロジェクトはそれを証明した」と、研究成果を発表したドイツ・フラウンホーファー協会の研究者は説明した。
また、寿命の終わり近くにリチウムイオン電池のパフォーマンスを下げる原因は、おもに負極であることも明らかになった。
「パフォーマンスが極端に落ちる直前に、リチウム・プレートと呼ばれる変化が小さなエリアに見られた。それらのエリアには、ほかのエリアに比べて、より高密度に伝導体が圧縮されており、その圧力が局部的な過負荷を引き起こしてリチウムの損失を招き、電池のその部分を破壊することが示された」。
アバターライフは、高圧下での電池の劣化や電気自動車の電池再生利用の安全な管理構造を研究するために2012年に開始された。プジョー・シトロエンやBMW、DNV KEMAをはじめ、フランス、ドイツ、オランダの研究開発組織が参加していた。
ドイツのプロジェクト開発業者ベック・オートメーション(Beck Automation)が率いる研究班は、「簡単に手に入る部品」を使って蓄電システムを組み立てた。また、別の研究班は、電気自動車の電池の原材料を50%以上回収する方法を開発した。
サムスンは6月に、リチウムイオン電池の寿命を2倍に延ばせる可能性を示す研究成果を発表し、スマートフォンの電池にもたらす恩恵が注目された。サムスンの発見は、アバターライフの特定した電極の問題に関連しているとみられ、サムスンSDIが販売する自動車向け電池や据え置き型の蓄電システムにも応用される可能性がある。
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