樋口ちづ子 (Chizuko Higuchi)

樋口ちづ子 (Chizuko Higuchi)

カリフォルニア州オレンジ郡在住。気がつけばアメリカに暮らしてもう43年。1976年に渡米し、アラバマを皮切りに全米各地を仕事で回る。ラスベガスで結婚、一女の母に。カリフォルニアで美術を学び、あさひ学園教師やビジュアルアーツ教師を経て、1999年から不動産業に従事。山口県萩市出身。早稲田大学卒。

樋口ちづ子 (Chizuko Higuchi)の記事一覧

    第37回 モネの庭

     本当はゴッホが亡くなったあの黄色い家に行きたかったのに、乗るツアーバスを間違えた。成人した娘と2週間パリで過ごした時のことである。フランス語をもっと勉強しておけばよかったと悔やむ...

    第36回 ケンカの報告

     若かった頃、私には苦い想い出がある。  その頃住んでいたラスベガスは24時間眠らない街だから、ホテルの仕事は24時間シフトであった。夫婦共稼ぎをしようと思えば、二人が...

    第35回 抱かれて死にたい

     死は他人には訪れても、自分の死はいつも遠い所にあるものだ。自分だけは死なない気さえしている。そんなバカなことはあるはずがないが、自分がこの世から居なくなるという事実を受け入れるの...

    第34回 しあわせな3日間

     ロサンゼルス郊外のコスタメサ市にセガーストロムコンサートホールがある。ロサンゼルスのダウンタウンにあるディズニーコンサートホールと並び、音響効果の優れた、素晴らしいホールである。...

    第33回 いい男 ②

     仕事をしていると、時に、それだからこそ出会える人がある。  LAから車で2時間北上すると砂漠のど真ん中にパームデールという小さな町がある。この町はずれに、30年も前に4エー...

    第32回 いい女 ①

     ロスから車で2時間東に入った所にパームスプリングスがある。避寒地として有名である。ハリウッドの銀幕のスターたちや、東海岸の富裕層の別荘がある。町は冬場のシーズンには華やかな人々で...

    第31回 柿もぎ

     秋になると楽しみに待っている一本の電話がある。それはロサンゼルスの南、オーシャンサイド近辺、ボンソールという別荘地に農場を持っている日本人妻Fさんからの電話である。  「も...

    第30回 半分のうな重

     その青年はまっすぐにこちらの目を見ていた。アメリカ生活のどんな所が面白いですか、という彼の質問に私が答えている時だった。思いつくままに話した。興味深そうにいろいろ質問してくる。そ...

    第29回 いい男①

     家の売買と管理が仕事なので、職人さんとの日常的な付き合いがある。と言うより、お世話になっている。プラマー、エレクトリシャン、エアコンマン、ハンディマン。  家の管理で一番怖...

    第28回 明日があるよ

     キャンプに行った子供が、帰ると言った日に帰らない。連絡もない。胸騒ぎがする。もう、生きた心地もしない。親にとってつらいことは多々あるが、こんなにつらいことはなかった。夏のキャンプ...

    第27回 紙一重

     世の中には紙一重で明暗を分ける時がある。もう20年も前の話だが、思い出す度に冷や汗が出る。誰の身にも起こりうることだから。昔も今も将来も。  その頃ある前衛的なビジュアルア...

    第26回 いつか会える

     今は本の注文はインターネットでできる。電子書籍もある。知識や情報は渇望と意欲さえあれば得られる時代になった。それでも、紙世代の私には、手垢の付いた本を手元に置く楽しみは捨てがたい...

    第25回 プラントだけ下さい

     春先は桜見物に米国から日本に帰る人が多い。あの白でもない、ピンクでもない「桜色」としか形容できない花に、我々は長年心を奪われてきた。一輪でも可憐な風情がいとおしく、一枝にたわわに...

    第24回 ルートが見えるか

     春になると一人の若者の後ろ姿をくり返し思い出す。30数年前に焼きついたイメージだ。  夫は豪雪の新潟県出身である。屋根に積もった雪を下ろすのが冬の大仕事。厳しい自然に耐えて...

    第23回 闇を照らす

     4年前の3月11日。東日本大震災の記億は除々に薄れ始めている。しかし、あの時から多くの人たちの生活が全く変わってしまったことを忘れてはなるまいと思う。  当時、米国に住む日...

    第22回 まさかの坂

     机の上にカレンダーを置いている。毎日の予定が書き込める1カ月ごとのカレンダーである。朝、今日の予定をどうこなすか、小さいコマのスペースの中に動きを見る。自分の使える時間を計ってい...

    第21回 産んでみる

     産んでみようと思うんです。電話の向こうで優しい声がする。仕事一筋に打ち込んできたこの女性は、頭脳明晰、努力家、語学堪能、その上スタイル抜群の大和なでしこ美人である。こんなフェミニ...

    第20回 鐘の音

     アメリカ人は、特にカリフォルニア人は気候がいいせいか外交的で、交際は広い。反面、コミットメントを嫌う傾向があると聞く。その上、普段は家族なんていないような顔をしている。今の仕事に...

    第19回 本物はシャープ

     日本から来た3人の若者のアンサンブルグループ「Tsukemen」(ツケメン)がLAでアメリカデビューを果たした。秋も深まる10月11日夕のことである。  Tsukemenは...

    第18回 おしゃれ

     おしゃれをしている人を見るのは楽しい。「この人、ちょっと気がふれているのじゃあないかしらん」と疑うほどに過激であれば、もっと興味をひかれる。「おお、すごい。あの顔とこの格好を仕上...
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  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
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  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
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