中国の報復関税、カリフォルニア州農家に大打撃

 米国産農産物に対する中国の報復関税が、カリフォルニア州のワインやナッツ業界に打撃を与えている。
 
 ロイター通信によると、中国は4日、トランプ政権の鉄鋼やアルミ製品に対する関税措置への報復として、冷凍豚肉、ナッツ、ワインなど106品目、27億5000 万ドル相当の米国産輸入品に15〜25%の追加関税を課すと発表した。税率が上がるとカリフォルニア産のアーモンド、ピスタチオ、ワインなどの国際競争力が下がる可能性がある。
 
 カリフォルニアは、全体では民主党支持者が圧倒的に多いが、農家の多くは 2016年の大統領選で「より公正な国際取引を望む」と主張したトランプ氏に投票しており、ピスタチオ生産量の上位5郡のうち4郡とアーモンドの最大生産郡カーンはトランプ氏を支持した。
 
 中国が輸入している最大のカリフォルニア産農産物はピスタチオで、16年には5億3100万ドルに上った。現在は生ピスタチオに5%、煎りピスタチオに10%の関税が課されているが、米ピスタチオ生産者協会のリチャード・マトイアン代表は「15%上乗せされるとイラン産に対する競争力が下がる」と見ている。カリフォルニアとイランは、長年にわたって世界最大のピスタチオ生産地の座を争っている。
 
 中国のカリフォルニア産農産物輸入量の2位はアーモンドで、16年は州の収穫量の12%を中国が購入し、輸入高は約5億1800万ドルに達した。今回の報復措置により、アーモンドの関税率は10%から25%に上昇する。
 
 一方、ワインは関税を含む税金が48.2%から67.7%に上がる。米国は17年、カリフォルニア産を中心に約7900万ドル相当のワインを中国に輸出した。
 
 中国の対米報復関税の恩恵を受けると見られるのはオーストラリアだ。オーストラリアは地理的にも中国に近く、中国との自由貿易協定(FTA)によって19年にはアーモンド、ワインなどの中国向け輸出関税がゼロになる。チリとニュージーランド産のワインも中国向け輸出には関税がなくなり、ほかの税金を合わせても課税率はわずか30%となる。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 2023年12月8日

    アドベンチャー
    山の中の野花 今、私たちは歴史上経験したことのないチャレンジに遭遇している。一つは地球温暖化...
  2. 2023年12月6日

    再度、留学のススメ
    名古屋駅でホストファミリーと涙の別れ(写真提供:名古屋市) 以前に、たとえ短期であっても海外...
  3. 移民法 永住権(グリーンカード) 永住権の取得は、結婚による申請や雇用による申...
  4. 2023年10月8日

    若者の自殺
    かなり重いテーマになってしまうのだけれど、最近、若い世代の自殺について考えさせられることが...
  5. 2023年10月6日

    フィレンツェの日々
    フィレンツェの遠景 誰にでもささやかな夢がある。イタリアで長い休暇を取ってみたかった娘家族は...
  6. 縦横無尽に川が流れ、湖や湿地帯、針葉樹林などの美しい自然が広がるピマチオウィン・アキ。世界複合遺産...
  7. こどもの進学の資金集め、老後の生活など、さまざまな理由で資産運用を始めたい人のために、アメ...
  8. パンデミックの終焉とともに、今年の春以降、各国間の交流が再開した。そして私は5月、日本の某学校法人...
ページ上部へ戻る