現実味増すサイバー戦争 米中攻防、第5の戦場

 【共同】サイバー空間における国家間の攻防が激化している。陸海空や宇宙に次ぐ「第5の戦場」と位置付けられ、「サイバー戦争」が現実味を増す。米企業マンディアントは22日までに、上海にある中国軍の「61398部隊」がサイバー攻撃の発信源とみられるとの報告書を公表。中国側が反論するなど情報戦も本格化するが、日本の取り組みは後手に回っている。

 2010年9月、イランに衝撃が走った。核施設など産業関連のコンピューターシステムが数カ月前からウイルスの攻撃を受け、パソコン約3万台が感染したと国内メディアが報じたのだ。

 イラン鉱工業省幹部のラヤイ氏はこのウイルスを通じ、内部情報がウイルス作成者に筒抜けになっているとし、こう言い放った。「これはイランに対するサイバー戦争だ」

■生活に直結する脅威 さまざまな攻撃形態

 サイバー攻撃にはさまざまな形態がある。圧倒的に多いとされるのは特定の企業などを狙い、情報を流出させるなどする「標的型攻撃」(ウイルス対策ソフト大手シマンテックの林薫主任研究員)。同社によると、2011年にこうした攻撃の標的になった産業分野のうち25%が政府と公共部門だった。

 会議の招待状に見せ掛けた電子メールが化学関連企業29社に送られ、添付ファイルを開くと、設計図など貴重な知的情報を盗むウイルスがインストールされた例も。今年1月には、農林水産省がサイバー攻撃で内部情報が流出した疑いがあると発表した。

 これに対し、米国とイスラエルが開発し、イラン核施設を攻撃したとされる「スタックスネット」は特定の標的にとどまらず、産業用制御システムにも感染するウイルス。インフラなど産業や市民生活に広く障害を与えることが可能だ。

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