飲食店、人手不足で電話対応を自動音声に

カジュアルダイニングやテイクアウトの飲食店に、客からの電話を音声ロボットで受ける店が増えている。

■店員は調理やサービスに集中

ウォールストリート・ジャーナルによると、レストラン業界は現在、人手不足が深刻で、客からの注文や予約の電話を人工知能(AI)で動く自動化された回線に回すことで、店員は調理やサービスに集中できる。また、ロボットは常に客により高い商品を勧め、複数の顧客の注文も同時に受けられ、店側は電話、ペン、紙台帳を使った方法よりも簡単に顧客データを保存・分析できる。さらに自動応答ロボットは、どんなに電話が混み合っても常に穏やかで感じの良い接客を提供できる。

8月から自動電話システムを試験導入しているカリフォルニア州のビージェイズ・レストランツ(BJ’s Restaurants)では、システムが顧客に待ち時間を知らせ、スタッフと話さずに予約順名簿に名前を載せられる。

マクドナルド(McDonald’s)は、ドライブスルーで自動音声認識を試験導入しているファストフード・チェーンの1つで、2021年6月にイリノイ州の10店舗で行ったテストでは、この技術が85%の確率で客の注文を正しく伝えられたという。

ダイン・ブランズ・グローバルが所有するファミリーレストランのアップルビーズ(Applebee’s)では、現在店舗の約半数で自動音声案内の回線を使った持ち帰り用注文が可能。また、マルコズ・ピザ(Marco’s Pizza)を運営するオハイオ州拠点のマルコス・フランチャイジングは3月から、客に話しかけ、その会話から注文品を文字に書き起こすAIシステムの試験運用を開始した。

■コロナ禍で状況に変化

飲食業界コンサルタントのアーロン・アレン氏によると、業界は数十年にわたって自動化にはあまり関心がなかったが、最近はスタッフやマネジャーの仕事を楽にするソフトウェアに多額を投じるようになっている。業界は常に店員の雇用と維持に苦労してきたが、特に新型コロナウイルスの大流行に端を発した労働力不足で、他社の買収や独自技術の開発などを通じてビジネス自動化の方法を模索する企業が増えた。音声起動ロボットなどの技術も洗練されて価格が下がり、自動化は以前より魅力的になっている。

ジェッツ・アメリカが運営するジェッツ・ピザ(Jet’s Pizza)では現在、客の約40%がオンラインやテキストではなく電話で注文しており、400店のうち130店でレストラン技術企業ハンガーラッシュ(HungerRush)が開発したピザ注文用電話ロボットを試験導入している。電話をかけた客は、店員と話す選択をすることもできる。

ハンガーラッシュのソフトウェアは、顧客がいらいらしたり、混乱したり、ロボットに分かってもらえないような口ぶりになると検知して、自動的に店員につないでくれる。今のところジェッツ・ピザに電話注文する客の約35%がロボットの利用を選んでおり、ロボットが注文の復唱、追加メニューの提案、レシートの送付などを行なっている。

ジェッツ・ピザは、この音声ロボットによって、最終的には電話注文がテキストやオンラインによるデジタル注文に移行することを期待している。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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