スポーツ用品大手プーマ(ドイツ拠点)の北米法人である北米プーマ(Puma NorthAmerica)は、RFID(radio-frequency identification)技術の試験運用を3店舗で実施し、その成果が確認されたことから、北米全域の135店舗で同技術の導入を進めている。RFIDジャーナル誌によると、プーマはそれによって、在庫管理の正確性を向上させ、2%の売り上げ増を達成した。
▽ニーダップ・リテイルのソフトウェアを採用
北米プーマが試験運用で成果をあげた技術は、ニーダップ・リテイル(NedapRetail)のソフトウェア・プラットフォーム「iDクラウド(Cloud)」と、各店舗のUHF(ultra high frequency)帯RFIDタグ、信号読み取り機、プリンターで構成されている。
プーマは、ニーダップのソリューションで集められたRFIDデータによって、店員らによる在庫管理がより迅速かつ正確になり、商品補充もより効率的になったため、品切れが少なくなり、販売機会の喪失を大幅に減らすことにつながった、と説明した。
同システムはまた、RFID読み取り機からのデータをもとにしたスマートな商品補充提案といったデータ分析も可能だ。全店舗の在庫データが正確に可視化されることで、複合販路の販売増も可能になる。
プーマは、6ヵ月以内に投資回収を達成したとニーダップに報告した。
▽複合販路への対応を強化
プーマでは、オンラインとオフラインを融合した複合販路の需要増に、より効果的に対応できるようニーダップのソリューションを試験運用してきた。
北米の支店群では、同ソリューションによって、たとえば、オンライン購入者の最寄りの実在店舗から商品を発送することや、「BOPIS(Buy Online, Pickup in Store)」販売を可能にし、より柔軟な選択肢を消費者に提示できるようになった。
▽デジタル先進旗艦店をニューヨーク市に開店
プーマは、供給網管理効率化のためにRFID技術を何年も前から活用しており、RFID技術には精通している。たとえば、ニューヨーク市に開店させた新たな旗艦店では、商品群を追跡できるよう商品群にパッシブUHF RFIDタグを装備した。
2階建てで床面積1万8000平方フィートの同旗艦店では、モノのインターネット(Internet of Things=IoT)ソフトウェア会社エヴリシング(Evrythng)のプラットフォームとエイヴリー・デニソン(Avery Dennison)のハードウェアを使って、消費者との双方向デジタル体験を提供するよう設計されている。
▽商品識別や代替商品推奨を店内で可能に
その新店舗では、来店客らは双方向のディスプレイを通じて、別の色やスタイルの商品を見ることができる。
また、そのディスプレイにはRFID読み取り機が内蔵されており、来店客が手にする商品を識別できる。そのほか、タグを読み取り機に近づけると、タグのID番号を取得し、そのIDと商品から代替商品を表示する。
買い物客は、ディスプレイの前で助けを必要とする場合、ボタンを押して店員に知らせることができる。
▽最寄りの店舗から即時発送、在庫管理をさらに合理化
プーマは、ニーダップのiDクラウドによって各店舗にどの商品があるかを示すデジタル・データをリアルタイムで取得できる。その結果、オンライン購入者が買おうとしている商品がある支店群のなかから、当該購入者にもっとも近い店を即時特定し、最短時間で届けられるようにする。
そのほか、RFIDタグは運動靴の製造段階で貼付され、各タグに記録された固有のID番号は、iDクラウドの在庫管理ユニット(SKU)と同期される。靴が店舗に納品されると、従業員は携帯型UHF帯RFID読み取り機を使って、定期的な棚卸しの際にタグを照会する。
▽商品補充を大幅にスマート化
同ソフトウェアは、特定のSKUの数があらかじめ決められた最小数に達したかどうかを識別し、達した場合に商品補充のための注文を推奨すする。
また、POS(point of sale)や店舗出口に設置された読み取り機でタグのIDを取得することで、より迅速な販売や行列の削減、紛失および盗難の防止を実現する。商品が購入されると、そのタグIDが読み取り機に取り込まれ、ソフトウェアによってその商品が在庫リストから自動削除される。
将来的には、タグ付けされた商品が購入されずに店舗出口を通過した場合、その場所でタグIDを読み取って警告音を鳴らし、それを防げない場合には補充注文を自動的に実行する機能が追加される予定だ。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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