電気自動車(EV)の安全性に関する最も差し迫った問題として、 消防署、緊急対応者、保険会社、消費者がEVの火災に対する用意が不十分なことが指摘されている。
オートモーティブ・ニュースによると、ミシガン州で最近開催された電池技術の展示会「バッテリー・ショー」でも、会場ではEVの熱管理製品が多く展示され、関係者の安全性に対する意識の高さがうかがわれた。討論会で参加者らが共通して強調したのは、 消費者、技術者、緊急対応者、車や電池を輸送する会社など、リチウムイオン電池の取り扱いや手入れに関わるほぼすべての人々がより多くの情報、より多くの訓練、一貫した基準を必要としているという点だった。
ニューヨーク市消防局の副隊長を務めるジョン・キャシディー氏は、リチウムイオン電池の危険性は電池ごとに異なると指摘した。古い電池、損傷した電池、欠陥のある電池、リコールされた電池は、新品とは消火の仕方が違うといい「消防隊員だけでなく業者も対処法を学ぶ必要がある。多くの場合、これらの電池は取り扱い経験がほとんどない一般の危険廃棄物業者によって処理されている」と述べた。
運輸省パイプライン・危険物安全局の輸送専門家エリザベス・ラドウ氏は法整備の遅れを指摘し「現行の規制はボタン電池ができた時代に作られた。運輸省は自動車メーカーや電池メーカーと協力して新安全基準を作ろうとしているが、この国はとても遅れている」と述べた。
当局の複数の調査の結果、洪水や暴風雨に見舞われた地域では、EV所有者が車を充電器とつないだままにしていたため火災が起きた可能性があると判明している。NY市消防局のキャシディー氏は、ほとんどの家庭のガレージには煙探知機が設置されていないが、消費者は特にEVを充電する場所に煙探知機を設置することで火災のリスクを減らせると話した。
EV電池の火災の消火が難しい理由の一つは、リチウムイオン電池はいったん火が消えても再び出火する可能性があるためだ。初動対応者の多くは、EVの部品配置を知らない状態で火災に対処する最善の方法を即座に判断しなければならない。
一方、電池の安全製品業界では、技術が徐々に進歩しているという。電池パックの熱緩和システムを製造するボイド(Boyd、本社カリフォルニア州)のデイビッド・ミラー技術責任者は「2、3年前に比べると電池の安全性は数段向上している。誰もが最も安全な電池を求めており、業界は電池をより安全にするための解決策を急速に打ち出している」と述べた。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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