室温調整やソフトウェア分野に追い風か 〜上院の連邦政府省エネ化法案

 連邦政府のエネルギー使用量削減を目指す法案が連邦議会上院に提出された。連邦政府は国内最大のエネルギー消費者で、政府における省エネ意識と省エネ圧力が高まっている。

 ビジネスウィークによると、統計のある最新年の2009年時点において、連邦政府は米国総エネルギー使用量の1.5%を使用し、連邦政府がその前年に費やした燃料および電力の費用は245億ドルに達した。連邦政府は、約50万棟の建物と60万台の自動車を使っている。

 今回提出された「エネルギー消費削減および産業競争力強化法(Energy Savings and Industrial Competitiveness Act)」案は、ジーン・シャヒーン上院議員(ニューハンプシャー、民主)とロブ・ポートマン上院議員(オハイオ、共和)が上程したもの。

 2020年までに連邦政府の二酸化炭素排出量を28%削減するというオバマ大統領の目標に沿った内容になっている。

 同法案では、ソフトウェアやエネルギー管理技術を使って連邦政府の建物やデータ・センターのエネルギー消費を削減し、データ・センターの設計見直しと統合も義務付けられる。

 非営利団体アライアンス・トゥ・セーブ・エネルギー(Alliance to Save Energy)のロバート・モシャー政府担当責任者は、同法案が可決されれば接続型自動室温調節器やエネルギー監視ソフトウェアの業界に大きな追い風が吹くと予想する。

 米国エネルギー効率化経済協議会(American Council for an Energy-Efficient Economy)の調べでは、同法案により2020年までに9万3000件の新規雇用創出も期待される。

 同法案に対しては、環境活動家と民間部門の両方から支持が寄せられている。一般に環境政策に消極的な全米製造業協会(National Association of Manufacturers)のほか、AT&Tやゼネラル・エレクトリック(GE)が法案支持を表明した。

 民間企業にとって特に魅力的なのは、商業建物と住宅建物の保有者を対象に、エネルギー使用削減のための技術購入を資金援助する条項が盛り込まれている点だ。

 一方で、目標値を達成できなかった企業に対する処罰は設けられていない。自動車の排気ガス規制や排出権取引(キャップ&トレード)制度と異なり、ほとんどが奨励策であり、罰則のない内容となっている。

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