水中ドローンが急速に普及 〜軍用から民生利用に需要拡大

 軍隊による空からの偵察および攻撃用に開発され、最近は民生利用も進んでいるドローン(無人機)が、空だけでなく水中でも活躍している。小型カメラを搭載したロボットが、水中のデータを操縦者のラップトップやタブレットに送信することで、新たな活用法に関心が集まりつつある。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、船舶の無人機は、以前から米国の海軍や沿岸警備隊が海底の鉱床探査や麻薬密輸防止といった目的に使っており、ボーイングやゼネラル・ダイナミクスに代表される軍需大手が政府機関向けに製品を供給している。

 しかし最近は、新興企業によるフットボール大の小型かつ低価格の機種が増えており、当初の愛好家向け特殊市場から今では石油掘削施設の点検、水産品養殖、沈没船探索などさまざまな用途に使われている。

 2011年設立のアクアボティックス・テクノロジー(AquaBotix Technology、マサチューセッツ州)は、ラップトップやスマートフォン、タブレットで操作できる水中用遠隔操作移動装置(ROV)「ハイドロビュー」(4000〜8000ドル)をこれまでに約200台販売した。

 ペンシルベニア州のヴィデオレイ(VideoRay)も軍用および商用にROVを販売している。下位機種は7000ドル。政府や石油会社向けの高位機種は約15万ドル。年間販売台数は200〜400台で、売上高は約1000万ドルだ。

 両社は現在、遠隔操作する必要のない自動走行ドローンの開発に取り組んでいる。

 一方、高い販売価格が理由で買えない人のために関連技術をオープン・ソースにしてほしいという要望を受けて、オープンROV(OpenROV、カリフォルニア州)では、科学者や愛好家向けにすでに数百個の水中ROVキットを850ドルで販売している。

 そのほかディープ・トレッカー(DeepTrekker、カナダのオンタリオ州)が製造する全長18インチのROV(3000ドル〜)は、電力大手フロリダ・パワー・アンド・ライトで原子力発電所の内部点検に使われ、ウォルト・ディズニーでは水ろ過装置の検査に使われている。

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