シェール革命の経済効果は特大〜米世帯の裁量支出、1200ドル増

 シェール革命で米国の石油、天然ガス生産が大幅に増えたことによる経済的な影響は、当初の予想よりはるかに大きく、米世帯の可処分所得は2012年に平均1200ドル以上も増えたとみられることが、市場調査IHSの調べで分かった。

 USAトゥデイによると、エネルギー分野の就業者数は間接的な雇用も含めて現在120万人に上り、2020年までには330万人に増加すると見込まれる。エネルギー景気が米世帯の可処分所得に与える影響は、15年までに年間2000ドルを超えそうだという。

 米国では、フラッキング(水圧破砕)や水平掘削といった新技術の登場でこれまでは手が出せなかったけつ岩層(シェール)に眠る天然資源へのアクセスが可能となり、天然ガスの予想埋蔵量が07年以降58%も増加した。これで天然ガス価格は約4分の3低下し、12年の国内関連投資は1200億ドルを上回った。

 多くの米世帯にとって最大の恩恵は、電気代や暖房費の低下で、裁量支出増加分の約75%を占める。そのうち約800ドルは天然ガスを使った暖房や調理コストの低下、100〜150ドルは電気料金の低下が理由。

 IHSの数値は、米国の天然ガス価格が08年水準を維持していた場合の世帯支出に基づいて算出された。政府の推計も同社の分析とほぼ合致しており、エネルギー省によると、家庭用天然ガス価格は08年以降、州によって差があるものの12〜32%低下している。エネルギー資源が増えていない欧州の天然ガス価格は米国の3倍、アジアはそれ以上となっている。

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