返品ルールを見直し〜小売業界、不正の増加で

 商品の返品について比較的寛容だった国内の小売店に、厳しい条件を付けるなど規則を強化する店が増えている。得意客を失いたくない店の寛大な姿勢につけ込んで、無理な返品をしようとする客が増えたためだ。

 サンフランシスコ・クロニクルによると、百貨店大手メイシーズ傘下ブルーミングデイルズは今年2月から、高価な衣類を使用後に返品する不正行為「ワードロービング」を防ぐため、150ドル以上のドレスに長さ3インチの黒いプラスチック製タグを付けて販売している。

 正面の裾など目立つ場所に取り付けられたタグは、一度外すと再び装着ができず、タグのない商品の返品は受け付けない。このタグがあることで、自宅などでの試着はできるが、外して外出したりすれば返品できなくなる仕組みだ。

 規則を見直しているのは百貨店だけでない。家電販売店は、スーパーボウルなどの重大イベントを見るだけの目的で高価なテレビを購入し、後で返品する客を減らすため返品に多額の手数料を設定している。高級下着のビクトリアズ・シークレットは、一部の店で返品の多い客の名簿を作っている。アウトドア用品大手のREIも最近、同社を有名にした「返品は無条件で受け付ける」という方針を廃止した。

 小売業界の不正返品被害額は年間88億ドルに上っている。全米小売業協会(NRF)の調査では、2012年にワードロービングをされた店の割合は約65%と、前年の61%から増えており、12年の返品のうち3.3%は不正返品と推定される。

 特に標的になりやすいのは、特別イベント用の紳士服をはじめ、高価なジュエリー、季節物の装飾品、工具など。ビデオカメラも結婚式などで使った後に返品されることが多い。

 現在、小売店の約70%はレシートのない返品に身分証明書の提示を求めており、レシートのない返品は受け付けない店も増えている。高級百貨店ノードストロムでは、カクテルドレスなどの身ごろの横部分、脇の下に当たる外側に銀色の紙製タグを付け、返品の際はこのタグが外されていないかを調べている。

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