高齢者狙う詐欺、米でも増加〜65歳以上の5人に1人が被害
- 2014年1月16日
- アメリカ発ニュース
高齢者を狙った詐欺が米国内で増えている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、2012年に連邦取引委員会(FTC)に寄せられた関連苦情では60歳以上の被害が最大の26%を占めた。4年前の08年は10%で、成人では最も少ない年齢層だった。
金融分野の教育団体インベスター・プロテクション・トラストによると、10年には国内の65歳以上の5人に1人が詐欺による経済的被害を受けており、保険大手メトロポリタン・ライフ・インシュアランスの集計では同年の高齢者の被害総額は29億ドルを超え、その2年前から12%も増加した。
ミネソタ州のある女性(85)は10年、「宝くじで250万ドルの賞金とメルセデス・ベンツが当たった」という電話をきっかけに4万7000ドルをだまし取られ、個人破産した。高齢者を狙う詐欺師らは、時には1日に10回以上も電話をかけて孤独な老人と親しくなり、賞金を何に使うか、何色の車にするかなどと話し込む。
しかし、賞金を受け取るまでに次々と小さな「問題」が持ち上がり、車の輸送業者、弁護士、銀行、FBI捜査員などさまざまな人物になりすました詐欺師集団が、「問題を解決するためには金が必要」と被害者に送金を促す。
高齢になると、認知症でなくてもこうした詐欺を見抜く力が弱まる。デューク大学の調査では、71歳以上の3分の1以上は何らかの認識障害を持っており、軽い症状は生活にほとんど影響しないため分かりにくいが、金銭の管理ができなくなることがあるため犯罪者にとっては都合がいい。また近年は、安いインターネット電話、電子メール、速い送金技術などで連絡や入金も簡単にできる。
特に、金融危機で財産を失った人は「簡単に金持ちになれる」といった話にだまされやすく、周囲が気付く前に大金を失う恐れがある。
また高齢者は、家族に失敗が知れると独り暮らしをさせてもらえなくなると考えて被害を隠す人が多く、当局に通報されるのは全体の10%にすぎないとみられている。
金融詐欺の捜査はコストがかかる割に十分な証拠が集まらず、容疑者は「金は当人の意志で提供された」「損失は合法」などと主張することも多いため、当局に届けても被害額が10万ドルより少ないと調べてもらえないことが多い。
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