テネシー・ウィスキーの規定緩和を〜ディアジオが州に要求

 テネシー州で、「テネシー・ウィスキー」の定義をめぐる酒造業界の闘いが続いている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、テネシー州は2013年、州内で原料にトウモロコシを51%以上使い、サトウカエデの木炭でろ過し、内側を焦がした新品のオークの樽で熟成させたものだけが「テネシー・ウィスキー」と表示できるという法律を導入した。これはテネシー・ウィスキーの代表的銘柄で、米国で最も売れているブラウン・フォーマン傘下「ジャック・ダニエル」の製法を踏襲している。

 しかし、世界最大の蒸留酒メーカーでスコッチの「ジョニー・ウォーカー」などを所有する英国系のディアジオは「テネシー・ウィスキーの作り方を全面的にブラウン・フォーマンが決めることは許されるべきでない」と主張して、州に規定の緩和を求めている。

 州議会は、同州法を撤廃するか、「州内で発酵、醸造、熟成させたウィスキー」という内容に修正するかを下院委員会で協議しており、審議は来週も続けられる予定。テネシーの醸造業者の中には、新しい樽の確保が困難になっているため「別の方法を考え出す自由が欲しい」と、ディアジオの意見に賛同する者もいる。ブラウン・フォーマンは他社と違い、樽の生産施設に多額の投資をしている。

 議員の間でも、現行法はブラウン・フォーマンの肩を持ち過ぎている、ウィスキー・メーカーがもっと自由に独自の製法を考えられるようにすべきではないか、といった声があり、規制緩和を支持する州下院のビル・サンダーソン議員は「気をつけないとテネシーのラム、ウォッカ、ワインなどをすべて定義しなければならなくなる」と懸念している。

 一方で、現行法の支持者は、隣のケンタッキーを主産地とする「バーボン」を引き合いにし、「古くから連邦法でその製法が規定されていたおかげで今の繁栄がある」と反論している。

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