身体装着型端末にリコール続発 〜 新市場誕生にともなう「産みの苦しみ」
- 2014年5月2日
- ハイテク情報
IT業界の新しい波として身体装着型情報端末が注目されているが、この分野を先導してきた運動量計測やカロリー計算といったフィットネス機器のリコール(回収および無償修理)やメーカーの構造改革が相次いでいる。
ロサンゼルス・タイムズ紙によると、スポーツ用品大手ナイキは「業務の優先度に合わせて資源を調整する」ことを理由に、身体装着型端末フュエルバンド(FuelBand)部門の人員削減を発表した。
また、人気急上昇中の身体装着型端末を開発した新興企業フィットビット(Fitbit)は、腕輪型端末フィットビット・フォース(Fitbit Force)の利用者から「赤い発疹や水ぶくれができた」と苦情を受けて販売を停止し、自主的にリコールした。同問題では訴訟も起こされ、世評や経済的安定が脅かされている。
フィットビットは利用者の1.7%から皮膚炎の報告を受けたと2月に公表し、現在、外部の研究機関や医療専門家による関連調査を進めている。
調査会社のIDCは身体装着型端末の世界出荷台数について、2014年に前年比3倍以上の1900万台超と予想している。また、今後しばらくは、使いやすさや価格の安さからフィットネス関連端末が同市場を先導するが、2018年からは、多機能型で洗練された外観の高位機種が増え、出荷総数は1億1190万台に達すると予想する。
最近の問題に関してIDCのラモン・ヤマス氏は、新分野の誕生にともなう「産みの苦しみ」のようなもので、悲観する必要はないと話す。
同市場に関するもう一つの課題は、需要を上回る勢いで新品が増え、市場が混雑したことにある。現在、さまざまなフィットネス追跡端末が売られているが、機能はどれもほぼ同じで違いを見いだすのは難しい。そのうえ、ナビゲーション機器大手ガーミンといった予想外の競争相手も市場参入している。
さらに、スマートフォンの普及も身体装着型機器の必要性を低下させており、「機能の違う腕輪を6つも身に着けるより、一つですべてできるスマートフォンの方が好ましい」(市場調査スタイフェル・ニコラスのジム・ダフィー氏)という見方も根強い。
今のところ、運動量や身体データを記録できるナイキのフュエルバンドだけで約100万人の利用者がある。
ナイキは現在でも、2013年11月発売のフューエルバンドSEを重要部門の一つと位置づけているが、今後は「同製品の計測情報を第三者開発のアプリケーションやハードウェアに集める方向に進むのではないか」(ダフィー氏)とみられる。
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