アイスホッケーの季節を残せ〜NHL、温暖化を本気で心配

 全米アイスホッケーリーグ(NHL)は、地球温暖化でスポーツ人口が縮小し、優秀なプレイヤーが減るのではないかと心配している。

 グリーンビズによると、NHLのギャリー・ベットマン・コミッショナーは、NHLの存続可能性をまとめた報告書の前書きで、気候変動と水質汚染がアイスホッケーや業界を代表するNHLに直接影響を与える可能性があると警告。「NHLは世界最高水準のホッケーを提供しているが、選手の多くはプロ入り前、北米や欧州の凍った湖や池で技術を磨いている。このスポーツの発祥は凍った池や寒い気候にあり、気候変動や水不足といった環境問題はあらゆる年齢のホッケープレイヤーが屋外でこのゲームを学び楽しむ機会に影響を与える」との懸念を示した。

 報告書の本文は、NHLの環境対応を紹介しており、競技場5カ所で最新の冷凍技術や太陽光発電、バイオガスを燃料とする燃料電池、湖底水による冷却、水力発電、コージェネ(熱電併給)、地熱などの再生可能エネルギーを導入していることを明らかにした。また、NHL関連施設の約3分の1は、電力需要のピーク時に自主的に使用量を減らすディマンド・リスポンス事業に参加しているという。

 NHLの温室効果ガス(GHG)排出量は、2011〜12年シーズンの52万8000トン強から12〜13年シーズンには38万トン強に減少。さらに12〜13年シーズンは、乗用車3500台分に相当する1万7236トンのGHGを再生可能エネルギー認証や炭素排出権の購入で相殺した。

 ベットマン氏は「環境技術への投資は、環境に良いというだけでなくリーグの長期的成長のための中核戦略でもある。NHLがウインター・クラシック、ヘリテージ・クラシック、スタジアム・シリーズといった世界的屋外ホッケー大会の開催を続けるには、冬の寒い気候が必要」と強調している。

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