HDD製造大手、クラウド向けに市場開拓 〜 フラッシュ・メモリーに対抗

 シリコン・バレー業界ではあらゆる市場と企業の盛衰が常に起きている。その激変を何回か経験してきた一つが、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)業界で、同業界では現在、新たな激変がまた起きようとしている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同業界の大手2社であるシーゲート・テクノロジー(Seagate Technology)と、ウェスタン・デジタル傘下のHGST(Hitachi Global Storage Technologies)は、従来のコンピュータ・メーカー向けの事業に加えて、クラウド電算サービス向けの販売を強化する方針を打ち出した。

 最近では多くのクラウド事業者がデータ記録装置としてフラッシュ・メモリーを採用している。フラッシュ・メモリーはHDDに比べて高速かつ省電力という利点があるためだ。

 しかし、ギガバイトあたりのコストで比較すると、HDDの方が圧倒的に有利となる。メーカー各社はそこで、HDDの性能を引き上げることによって、クラウド・サービス向けHDD市場を開拓し始めた。

 HGSTは、ハード・ディスクをヘリウム・ガス内に閉じ込めたHDD技術を開発しており、最近、従来の最大容量だった6テラバイト(6TB)を10TBまで引き上げることに成功した。

 HGSTはまた、HDDを基盤にした「アクティブ・アーカイブ」をクラウド事業者向けに提供している。同システムでは、使用頻度の高いデータの複製を出し入れすることで、データ・アクセスを高速化できる。

 一方のシーゲートは、クラウド・サービスおよび大容量データ(Big Data)アプリケーション向けのディスク・ストレージ「クラスターストア(ClusterStore)9000」を提供し、市場開拓を本格化させている。

 一部では、両社の動きが従来顧客のシステム・メーカーとの間に軋轢を生み出すという懸念も出ている。しかし両社は、大容量のデータ処理を必要とするクラウド・サービスを標的としてHDDを販促するにとどまり、ストレージのシステムに進出しないため住み分けができると考えている。

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