サウスウェスタン、天然ガスに固執 〜 値崩れしても生産続行するCEOの信念
- 2014年12月29日
- 環境ビジネス
天然ガス増産にともなう値下がりを受けて、エネルギー各社が新規のシェール(けつ岩層)掘削計画を見直すなか、天然ガス生産量米国4位のサウスウェスタン・エネルギー(テキサス州)は、「うち1社になってもやめない」と天然ガス生産の規模拡大を続けている。
その唯一の理由は、「将来、天然ガス需要は必ず高まる」というスティーブン・ミュラー最高経営責任者(CEO)の信念だ。
数年前には、田舎道を走るトラックが切れ目なしに土ぼこりを立てていたアーカンソー州の大型ガス鉱区ファイエット・シェールは現在、ほとんどの天然ガス採掘会社がリグ(井戸掘削装置)の運転を中止したために静まり返っている。しかし。サウスウェスタンだけは、所有13基のうち12基を動かし続けている。
サウスウェスタンはファイエットを10年前に発見。同シェールの土地貸借料が格段に安かったこともあって、サウスウェスタンは金銭的にも力を付けた。2007年以降、ファイエットでの同社のガス生産量は9倍に、可採埋蔵量は5.7倍に増え、同社はいまも月に30本の新しい井戸を掘っている。
ミュラーは、「石油かガスかどっちが得か考えて、ほとんどの会社はうちを変人扱いしているが、だれもついて来なくても自分だけはガスを掘る」と11月に公言している。
ここ数週間、天然ガス価格は原油と同様に下がっており、同社の社員以外、ミュラー氏に従う者はほとんどいない。かつてファイエットで計45基のリグを動かしていたチェサピーク・エネルギーやBHPビリトン、エクソンモービル傘下XTOエネルギーといった業界大手は、天然ガス価格が当時の半値以下に下がった現在、すべての運転を中止している。
クリーン燃料としての天然ガスへの期待が高まり、増産に向けて多額の設備投資が行われた後、全米にあふれるほどの天然ガスが生産されたが、それを運ぶのに十分なパイプラインはついに建設されなかった。アーカンソーのほかテキサスやルイジアナの天然ガス関連投資計画は、毎年次から次へと中止または縮小された。
しかし、サウスウェスタンだけは天然ガスへの強い期待を捨てていない。それどころかミュラーCEOは10月に、ウェスト・バージニアとペンシルベニアのマーセラスとユティカの両シェールでチェサピークがかつて所有した区域への設備投資を倍増し、54億ドルで41万3000エイカーを新たに開発する計画を発表した。
そのため同社の負債は大きく膨らみ、ウォール街のアナリストらも懸念を示したが、ミュラー氏は先日、ペンシルベニアのガス井の権益を購入した。
オッペンハイマーのファデル・ガイト氏は、「ミュラー氏にはわれわれが間違いだと証明してもらいたいが、彼は桁外れに頑固な男だ」「ガスが石油と同じくらいもうかるという夢が証明されるころには、彼は引退しているかもしれない」と話した。
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