ヤクルト、BIツールで業務効率化 〜 数値の羅列から意味をなすデータ解析へ

 世界31ヵ国で事業展開するヤクルト(Yakult)は、オランダで売り上げ管理に長年使ってきた表計算アプリケーションの代わりにデータ解析ツールを採用し、製品の動きをリアルタイムで把握するのに役立てている。

 ヤクルトは約10年前には、オランダ市場のデータ類をエクセル(Excel)で管理し、年間売上高伸び率やスーパーマーケット別売上高を4週間ごとにグラフや表にしていた。

 インフォメーション・ウィークによると、同社は、市場競争力維持のためにビジネス・インテリジェンス(BI)技術への投資を2006年に決め、ティブコ・ソフトウェア(TIBCO Software)のデータ可視化アプリケーション「スポットファイアー(Spotfire)」を採用している。

 ヤクルトでオランダの市場分析を担当するエグバート・ヤン・ヴィームカント氏によると、スポットファイアーを選んだ最大の理由は「(標準的なデータ可視化作業を)エクセルよりも100〜200倍迅速にできること」だった。

 ヤクルトは、スポットファイアーを使ってオランダを4000地域に分割し、それぞれの売上高と流通状況を解析している。「各地域の人口を把握し、販促活動の標的化が可能になった」とヴィームカント氏は話す。

 また、「(スポットファイアーのおもな利点は)多次元データを一つのグラフに表示できること。たとえば店舗売上高を散布図に示し、点の色と大きさで扱い製品と売上高を表し、一つの点で現在の売上高を、もう一つの点で1年前の売上高を示したりできる」と同氏は説明する。

 それによって多くのデータを簡潔にまとめることができ、営業担当者は、データにもとづく販促を顧客スーパーマーケットに対し効率的かつ効果的に実行できるようになった。

 さらに、「小売業者にデータを伝える代わりに、スポットファイアーによってデータを筋書きに変えることが可能になった」と同氏は指摘する。

 ヤクルトはまた、スポットファイアーのクラウド版の採用を2年前に決定した。

 BI投資については、ヴィームカント氏の上司やヤクルト本社のIT責任者も関与したが、導入後は「データの統合や解析、可視化、共有といったことが、IT部署の助けを借りずに行えるようになった」とヴィームカント氏は話す。

 新データのシステム追加と更新作業も、いまでは同氏自身が数分程度で行っている。

 現在、複数のデータ源から収集されるデータは一つの表に集約されてクラウド・システムに送られ、欧州のヤクルト幹部らと共有できるようになっている。

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