ドローンと地上の交信、携帯通信網では不十分 〜 カーネギー・メロンの研究

 無人飛行機(ドローン)と地上をつなぐ手段としてセルラー(携帯電話)通信網が注目されているが、地上100メートルの空中でのセルラー信号の受信は、期待されたほど簡単ではないという調査結果が明らかにされた。

 ドローンを長距離飛行させ、飛行中のドローンとの接続状態を維持したいアマゾン(Amazon)のような企業にとって、今回の調査結果は新たな課題を提示するものといえる。

 コンピュータワールドによると、カーネギー・メロン大学シリコン・バレー校のサイラブ・モビリティー研究センター(CyLab Mobility Research Center)のボブ・イアヌーチ氏率いる研究班は、セルラー信号が空中をどのように動き、また、地面やそのほかの物体にどのように反射するかを調べることで、高精度受信可能範囲モデルの作製を試みた。

 研究班は、救急車を改造してセルラー通信網を構築し、それを移動させることで希望場所に大型アンテナを設置。そして、「セルラー・バブル・カバレッジ」を構築し、衛星経由で接続した。

 次に、クアッドコプターの底に携帯電話を固定し、通信距離を測定した結果、「空中の信号は、想像より大きく異なる」ことを発見した。

 研究班は現在、1年に数回の頻度で遠隔地で実験を行っている。まず、空気圧マストとアンテナを設置。改造救急車内のサーバーと無線通信機によってセルラー信号を発生させ、車両の屋根に取り付けた衛星アンテナでインターネット接続を確立する。

 そして、学生が改造救急車の屋根に上ってドローンを飛ばし、セルラー信号に関する情報を収集する。

 研究班は最近、周囲の地形の詳しいレーザースキャンを得るために、米国地質研究所(US Geological Survey)と提携した。無線測定値と地形図を活用し、特定地域の携帯通信領域をより正確に模擬するソフトウェアを開発するのが目的だ。

 ドローン利用の規制緩和が進むなか、イアヌーチ氏らの研究は将来、より重要になる可能性がある。

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