個々の患者向けの癌治療法を特定へ 〜 インテル、大学と共同でシステム開発

 インテル(Intel)とオレゴン健康&科学大学(Oregon Health & Science University=OHSU)のナイト癌研究所(Knight Cancer Institute)は先日、癌の研究と個々の患者向け治療法特定のために医療機関がゲノム・データを安全に共有できる試験的ネットワークを立ち上げた。

 大規模データ(big data)とクラウド電算を組み合わせたデータ解析共有システムといえる。その結果、従来なら数ヵ月や数週間かかっていた研究や治療法特定が数日または数時間に短縮されると期待される。

 コンピュータワールド誌によると、インテルとOHSUナイト癌研究所が共同開発した「協業型癌クラウド(Collaborative Cancer Cloud)」は、患者の個人情報を世界中の医療現場に残しながら、膨大な数の癌患者のゲノム・データを世界中から集めて分散型高性能電産システムによって解析する。

 したがって、協業型癌クラウドによってクラウド共有されるゲノム・データから患者個人の情報が判明することはない。

 個々の患者に最適の癌治療法を特定することは、「干し草の山のなかから針一本を探すような」検査と解析が必要になるが、協業型癌クラウドを使うことで、個々の患者に対し、治療効果が認められた類似性の強い癌の治療法をすぐに見つけ出すことが可能となる。

 協業型癌クラウドはそれと同時に、遺伝子配列の解析によっても個々の患者に適した治療法を特定できるようにする。従来の化学療法は、癌細胞だけでなく正常細胞まで破壊し副作用も強い。しかし、患者の遺伝子配列を短時間で特定し、その配列にもとづいて個々の患者に最適と思われる治療法を特定できれば、化学療法への依存度を下げることも可能だ。

 協業型癌クラウドは、そういったパーソナライズドまたは「精密(precision)」医療の可能性を大幅に拡大し、大規模データとクラウド電算の医療応用をさらに加速させる要因になるといえる。

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