燃料安いと高級燃料が売れる〜米消費者の行動は不可解

 米国ではガソリンが安くなるとわざわざ高価なハイオク燃料を買う人が増えるという調査結果を、JPモルガン・チェイス・インスティチュートが発表した。「貯金が下手な米国人」という評判に新しい証拠が加わりそうだ。

 ニューヨーク・タイムズによると、ガソリン価格が低下した昨冬以来、以前と同じようにガソリンを購入していれば米国人は月に約41ドルを節約できたはずだが、実際の節約額は約22ドルにとどまり、差額はより多くのガソリン購入か、より高級なガソリンの購入に回ったと見られる。

 合理的とは言えないこの現象は、「メンタル・アカウンティング(心の会計)」と呼ばれる行動様式で説明できるという。多くの消費者は、特定の支出にいくら使うかをあらかじめ計算しており、実際の支出がそれより少なかった場合には「まだ使える」と考え、結果的に当初の予定より出費がかさんでしまうという理屈だ。

 JPモルガンの調査によると、2013年12月〜14年2月の平均ガソリン価格は1ガロン3.31ドルで、米消費者のガソリン支出は月136ドルだった。1年後の同時期には平均価格が1ドル(約30%)下がったが、ガソリン支出は114ドルで16%しか下がらなかった。

 調査は購入されたガソリンの種類を特定していないが、支出の減り方が小さいのはガソリン消費量の増加だけでは説明がつかない。

 ブラウン大学とシカゴ大学の経済学者が13年に発表した調査報告書によると、ガソリン価格が下がると消費者は所得が増えた時のような反応を示すことが多い。08年に経済危機でガソリン価格が下落した時は、高級ガソリンの購入量が著しく増えたという。しかもこうした行動を取る人が大勢を占め、当時は61%の世帯が少なくとも1回は非理性的なガソリンの買い方をしていた。

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