IBMのスティーブン・ラフリン副社長は先日、小売業界向け会議で講演し、2025年には買い物客が店舗で洋服を試着し、客が選んだ洋服の宅配を店員が携帯機器で手配するようになると予想する。
実在店舗とオンライン店舗の役割が今後は変わり、実在店舗は展示室(ショールーム)的な色合いが濃くなる、とIBMは考えている。
IBMは現在、「リテイル2025(Retail 2025)」と題した報告書を作成中だ。ラフリン副社長の発言はその一部を紹介したもの。
コンピュータワールド誌によると、ラフリン副社長は、向こう数年のうちに多くの店舗が来店客に多様の体験を提供し、情報や洞察を与える役割に徹するようになると指摘。来店客は店舗で商品を試し、店員がさまざまの機能を説明するという小売店の将来像を同氏は説明した。
同氏はまた、「こんにち、小売業者の事業の10〜15%はオンライン販売または直販であり、商品が倉庫から消費者に直接流れている」「将来、その割合は50%を超え、店舗は展示室や試着室になる」「それによって小売業者の供給網は大きな変革を迫られる」と語った。
店員の役割も変わり、在庫整理がなくなる代わりに専門的かつ細かい顧客サービスに集中するようになる。
小売業界では近年、モバイル端末を利用した購入も増えている。たとえば、テレビ購入を検討している消費者は、製品評価書き込みをオンラインでまず確認する。実在店舗に行く場合も、スマートフォンやタブレットを使って他店の価格やほかの選択肢を比較している。
RSRリサーチのブライアン・キルコース氏とIDCのグレッグ・ジラード氏は、小売業者が従来の店舗を展示室化するためには、倉庫管理や製品出荷、在庫管理に関する技術や基盤設備を抜本的に変える必要があると話す。
ただ、大手の全米および世界規模の小売企業は、向こう9年間内にはそういった変革に着手しないだろうとみられる。技術導入に時間がかかるためだ。
ジラード氏はまた、小売業者の新たなビジネス・モデルを技術的に支える「ニッチ・プレイヤー」が登場するだろうと予想する。
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