キューバ日系企業インタビュー
日立ハイテクノロジーズ

キューバの電力を支える中央火力発電所向けに主要機器を納入する日立ハイテクノロジーズ。ハバナ事務所の杉浦信彦さんに、キューバビジネスについて伺った。

日立ハイテクノロジーズハバナオフィスの杉浦さん

ビジネス

弊社がキューバと初めてお付き合いをしたのは1960年代にさかのぼり、当時キューバの主要産品であった砂糖と引き換えに、日本より漁船を販売しました。その後、いくつかの商材を提供しながら、ハバナに事務所を開設したのは1975年で、80年代までに2~3名の駐在員を配置していました。
世界遺産でもあるシエンフエゴスに中央火力発電所を建設する国家プロジェクトに参画し、発電機・タービン・ボイラー等の主要機器を納入したのが約40年前。驚く事に現在でもその発電所がキューバ国内の12%の電力供給を賄っており、今年は古くなった機器や部品をオーバーホールする大きなプロジェクトを実行に移します。

最近のキューバに対する盛り上がりは自身でも実感しています。
キューバ最大のハバナ国際総合見本「FIHAV」に出展参加される日系企業は増えていますし、海外からのキューバへの注目度がさらに高まっていると感じます。2~3年前までは閑散としていたハバナ旧市街も今では欧米や日本からの観光客で溢れかえっていますから、お気に入りのバーにも気軽に入れなくなりました。(笑)
観光以外にも日本を含めた海外からキューバに事務所を開設する動きも活発になっています。それは革命成立後に他国に例を見ない歩みを遂げてきたキューバに対する、ビジネス機会の可能性にあると思います。一方で、社会主義を堅持し米国の経済制裁を受け続けているキューバは、決して海外からの旺盛な商魂を受け入れる状況にない事も事実です。簡単に言えば、提供される物資・サービスに対して支払う外貨資金が不足している根本的な問題がありますので、外貨収入をいかに増やし、外貨支出をいかに抑えるか、キューバの経済施策は大きくはここにあると思います。
とはいえ、革命成立後に使い続けているインフラは確実に老朽化していますので、国家の経済成長を考える上で社会インフラの整備が重要な喫緊課題であると考えています。観光客がいくら増えても提供するホテルや電気や水、サービスが不足していてはどうにもならないですから。

弊社は中でも電力インフラに注目しており、老朽化が進みいずれ寿命のくる発電所の主要機器をオーバーホールする事により、発電出力の維持・向上とともに発電所の延命化を図るプロジェクトを既に手掛けています。
今後の事業可能性としては、日立グループ各社とも連携し、エネルギー関連のプロジェクトを取り込み、発電プラントの効率アップや寿命の延長のみならず、最新鋭のガスタービン・コンバインドサイクル発電プラントなどの受注機会を得たいと思っています。また、ヘルスケア、高機能材料などの分野でも調査を始めたいと思います。長く大事にモノを使い続ける精神を持つキューバと、長く大事に使えるモノを作る技術を持つ日本。とても良い相性をもつ両国のブリッジの役目として、キューバの人々に社会貢献できるプロジェクトを進めていきたいです。

キューバでの駐在生活

日本人からしますと、あらゆる面で物資が不足していると感じるかもしれません。日用品、事務用品、食材など、日本では簡単に買えるものがここにはありません。例えば牛乳一つ買うにもいくつかのスーパーを回らなければならないですし、先日は事務所の便座を調達するのに半年以上かかりました。時期によってはいくら回っても手に入らない事も結構ありますので、その場合はあきらめるしかありません。(笑)

食材では、特に生鮮野菜や魚介類の入手に苦労しています。スーパーでは一部外国人向け店舗を除いて生鮮食品は販売していませんので、農家直営所などで買うのですが、これも春から夏にかけてはあまり出回らなくなります。農業の生産効率が低いこととコールドチェーンなどの輸送・流通インフラがないことが大きな理由です。ですので、私は秋から冬にかけてできるだけ栄養を取るようにしています。(笑)

キューバの方々はこのような環境が当たり前ですので、あらゆるモノを取っておいて、何かに代用するという習慣が根付いているようです。例えば、ペットボトルは綺麗に洗って調味料などのつけ足し容器に使ったり、雨どいになったりもします。段ボールもスコールが降った後の玄関マットに早変わりするわけですね。私が日本から持参したカップラーメンの容器も床掃除用の洗浄液入れになりました。弊社機器が40年間稼働している火力発電所から、小さな日用品まで、なんでも丁寧に手入れをして使い続けるのがキューバの人々の民族性のようです。

モノが多くない国である一方、「人と人との関係」が何よりも大事です。一貫した社会主義体制を維持し続けている政治背景もありますが、日々さまざまな生活の壁にぶつかった場合でも、「人と人との関係」で障壁を克服する強さとしたたかさがキューバの方々にはあります。

フレンドリーで明るい国民性はまさにラテンの国ですが、キューバの人々は特徴的なのはとても民度が高い事です。常に相手が不快にならないよう自然な気遣いをしており、むやみに争う事を好みません。例えば、この国では何かと待たなければならないことが多いのですが、キューバの方々はきちんと列を作ってなど並びません。その代わりに、誰が最後に並んでいるかを大体把握していて、日本のように列に割り込んだから口喧嘩なんて事はまずありません。そうなったとしても、皆で話し合ってその場で解決。小さなことでいざこざは起こさず、人と人との関係を大事にする、この国の人々の心はとても豊かです。

経済面ではさまざまな課題があるキューバですが、40年前よりお付き合いをしている弊社の強みとノウハウを生かし、社会インフラを始めとしたプロジェクトを進め、キューバの人々に積極的に貢献してまいりたいと思っています。

株式会社日立ハイテクノロジーズ ハバナオフィス
Hitachi High-Technologies Corporation Havana Office

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

この著者の最新の記事

関連記事

注目の記事

  1. Part1 北米・ヨーロッパの名産を日本へ Nishimoto World Gift 詳細...
  2.  今年も8月に開催された『 ジャパン・ワイン・チャレンジ(JWC)』に招待され、審査員を務め...
  3. To Gettysburgゲティスバーグへ  ペンシルベニアの東南端から、メリー...
  4.  事業を成功させ、リッチな老後を送るハリエットは、我の強い性格ゆえに孤独な日々を送っていた。...
  5.  アメリカ国外に居住することを選択した永住権(グリーンカード)保持者が、外国に住みながらグリ...

デジタル版を読む

フロントライン最新号
ページ上部へ戻る