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教育 - 日本の教育に取り入れたいこと(前編)
文/在米日本人フォーラム(Text by Japanese Forum USA)
- 2017年5月15日
プレゼンテーションの苦手な日本人、インタビューされたら多弁なアメリカ人、この差は一体どこから?
1. アメリカ人と結婚された日本人女性でお二人の娘のお母様のお話
(1) プレゼンテーションの能力を身につけさせるトレーニング
これはPreschool(保育園)の “Show and Tell” に始まリます。自分のお気に入りを持って行ってそれについてクラスのみんなの前で話すというもので、子供たちは3歳からやりました。
小学校に入るとさらにプレゼンの機会は増え、内容や構成についてはもちろん、細かい点が評価の対象となりました。例えば聴衆とアイコンタクトが取れているか、発表する時の声の大きさは適切か、間の取り方は適切かなどなどです。そういった訓練を全く受けてこなかった私は、「なるほどこれでは日本人がプレゼンという場でアメリカ人に太刀打ちできるはずがない」、と思いました。
ごく小さいころから始められるこのトレーニングの素晴らしいところは個人の性質に左右されないという点です。私の娘の1人は、小さい頃とてもシャイでしたが、繰り返しトレーニングを受けることでそうした能力はひとつのスキルとして身に付いたように思います。これは、例えるなら子どもが自転車に乗れるようになる、あるいは泳げるようになるということとそんなに違わないような気がします。生きていく上で大切なスキルだとアメリカ人が考えていることは間違いないと思います。もちろん得手不得手、好き嫌いはあると思いますが・・・
どれほど高い知識や理解力を持っていても、それを人に伝えることができなければ、そして人の心をつかむプレゼンができなければ結局物事を先に進めることはできないですものね。
(2)小学校4年生から6年生の時に徹底して読書力を付けさせる教育システム
一定期間の間に何冊の本を(生徒のレベル以上のものでなければなりません。)読まなければいけないということが決まっています。必須の科目です。
すごいのはあらゆるレベルの膨大な図書の情報がコンピューターに収められていて、読後生徒たちはコンピューターを使ってテストを受けなければなりません。読んだ本のタイトルを入れると無作為に10問の質問が出されます。つまりテストはその度に違う問題が出されるので予測することはできません。そして8問以上正解しなければ読んだとは見なされずカウントされません。もう一度数週間後に受けられますが二度落ちれば二度と同じ本でチャレンジすることはできません。とてもよく考えられたシステムです。読みっぱなしではなくきちんと理解したかどうかをしっかり確認できるのです。
この3年間で子供たちが身につける読書力というのは大変なものだと思います。一体どれだけの日本の小学生が800ページ以上の長編をすいすいと読むことができるでしょうか。そして読書力は他の教科もサポートするのではないでしょうか。
(3)サイエンスへのアプローチ
サイエンスのレベルは日本よりもはるかに高いと思われます。それは勉強の仕方が根本的に違うからだと考えます。ただ広く知識を詰め込むのではなく、探求型のプロジェクトが圧倒的に多いということは特筆すべき点かと思います。
あくまでも一人でテーマを選び、予測を立て、実験の仕方を考え、データを集め、結果を導き出す。ひとつのことを深く掘り下げるやり方ですが、そうすることによってサイエンス全体への理解が深まる、そんな印象を私は持っています。
そうした大人顔負けのことを小学校高学年から要求されます。そうして集めたデータはコンピューター処理をし(棒グラフや折れ線グラフにして)、明確に人々に伝わるプレゼンのスキルを駆使して、それぞれの研究テーマの専門家の前で、そしてきちんとした服装に身を包んで発表します。
きっとまだまだあると思いますが、今日はここまでにしましょう。ここに書いたことは多くの公立学校で実施されていることであり、決して特別なことではないと思います。何かお役に立てるといいのですが・・・
(後編に続く)
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