第64回 学費の心配

文&写真/福田恵子(Text and photo by Keiko Fukuda)

ハイスクールに通う娘がいると分かると、すでに子どもを大学に進学させた知り合いに必ず言われることがある。「大学の学費はどうするの? 貯めているの? 奨学金をもらうの?」。それに続けて、その人がどうやって子どもの学費を捻出したかという苦労談が始まる。ある人は学費用に貯めた教育ファンドがあると奨学金が出なくなるからと、急いでそのお金を引き出して使った(!)とか。自営業の人は所得を低くして奨学金を受け取るために、経費として申告できるものをせっせと買った(!)とか。息子さんが有名私立大に合格したが適用できる奨学金がなく、第二希望の州立大であれば奨学金が出るので自己負担は寮費と学食費程度で済むからと、本人は私立に行きたかったようだが州立にしてもらった、とか。または、別の友人は優秀な娘さんを医学部に通わせたいと願い、彼女がまだ小学生の頃に専門家に相談したところ、「お宅のような高収入の世帯ですと、どんな作戦を使っても奨学金は出ません」と言われたとか。

なぜ、そんなに皆が話題にし、大騒ぎするかというと、アメリカの大学の学費は目が飛び出るほど高額だからだ。

2017年9月にU.S.NEWSが発表したランキングによると、アメリカでもっとも学費が高いのはニューヨークにある私立のコロンビア大学で年間5万7208ドル。続いて同じくニューヨークのヴァッサー・カレッジが5万5210ドル。3位はロサンゼルス郊外のクレアモントにあるハーベイ・マッド・カレッジで5万4886ドルと続く。さらに寮費が1万ドル以上加算される。これが4年間の数字ではなく1年分と知った数年前、驚きとともに「なぜ、こんなに高いのか?」と疑問に思ったものだ。

調べてみると、大学が公的資金を潤沢に受け取っていた古き良き時代は、むしろ日本よりも学費は安かったようだ。しかし、その公的資金が次々と打ち切られていった結果、物価上昇率を上回るペースで学費は高騰することになった。それだけ、アメリカの大学は教授や職員の人件費、キャンパスの維持費、さらにプログラムの運営費に多くをつぎ込んでいるらしい。

ただし、前出のように「このままだともらえなくなる」と皆が話題に出す奨学金制度もあり、一定の年収以下の家庭の子どもの学費として、返還義務のない援助金が支給される。これはFAFSAと呼ばれるもので、オンラインで簡単に申請できるようだ。

自分で奨学金を調べる
アメリカの高校生

アメリカの大学に関しては、私立と公立では大きく学費が違うだけでなく、州立大学の場合は、州内からの進学か、州外からかでも払う学費は異なる。学費が安いコミュニティカレッジに進学し、そこでの単位を、編入した4年制大学で生かす方法が賢明とはよくいわれる。

しかし、実際は有名私大に関しては、コミュニティカレッジからの編入を認めているところは少数で、しかも以前に比べてコミュニティカレッジから4年制への編入を果たすのは狭き門となっている。ストレートAを取得し、教授からの好意的な推薦文を獲得すること、さらに強力なエッセイが必須だと、過去にエルカミノ・カレッジからUC(カリフォルニア大学)に編入した友人の息子さんが話していた。

それにしても、学費について自分で調べるアメリカの高校生には感心する。もらえる奨学金を自分でサーチしたりカウンセラーに相談したりした結果を親に報告し、最終的な判断を仰ぐケースも少なくないようだ。私が日本で高校生だったはるか昔は、運よく第一志望に合格したので何の迷いもなく入学した。その大学の学費が他の私立大学の1.5倍だと知ったのは随分経ってからだった。しかも、地方の高校から東京の私立大に進学した私は、毎月、アパート代と生活費の仕送りも受けていた。今、思えば、世間知らずなだけでなく恩知らずだったと思う。

さて、ニナだ。彼女が私立大学を志望するのか、公立大学に申請するのか、それともコミュニティカレッジに進学するのか。高校の2年目を迎えているのにまだまっさらな状態。今年の夏はキャンパスツアーにでも行くことにしよう。

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福田恵子 (Keiko Fukuda)

福田恵子 (Keiko Fukuda)

ライタープロフィール

東京の情報出版社勤務を経て1992年渡米。同年より在米日本語雑誌の編集職を2003年まで務める。独立してフリーライターとなってからは、人物インタビュー、アメリカ事情を中心に日米の雑誌に寄稿。執筆業の他にもコーディネーション、翻訳、ローカライゼーション、市場調査、在米日系企業の広報のアウトソーシングなどを手掛けながら母親業にも奮闘中。モットーは入社式で女性取締役のスピーチにあった「ビジネスにマイペースは許されない」。慌ただしく東奔西走する日々を続け、気づけば業界経験30年。

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