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USHIO AMERICA, INC.
アメリカのビジネスは、今
- 2019年1月22日
今、アメリカのビジネスシーンはどうなっているのだろう?
困難をどう乗り越えたのか。成功の鍵はどこにあるのか。
キーパーソンに、アメリカでのビジネスのヒントを聞いた。
カリフォルニア州サイプレスにオフィスを構えるUSHIO AMERICA, INC.のCOO Shinji Kamedaさんに話を聞いた。
アメリカの事業内容
Ushio Americaは1967年に創設、ウシオ電機やウシオグループ会社で製造した製品の北米でのディストリビューションを行っております。一言で言うと「光の会社」で、幅広い分野の事業を手がけております。今回はその中の大きな3つの事業を紹介します。
1つ目は映画関連事業。
映画館で映像を映し出す特殊な光「キセノンランプ」を創業以来販売しており、全米で60から70%のシェアを誇っています。最近は3Dなどの台頭でより明るい光が必要でレーザーを使う技術が急速に伸びており、ランプからレーザーの固体光源に変化してきています。また、3D映画を観る際に使用するメガネの洗浄機の取り扱いや、兄弟会社Christie Digital Systemsでは映画館のプロジェクターを製造するなど、グループとして提供可能な製品を増やしています。
2つ目は半導体事業です。
半導体は製造過程で特殊な紫外線光源が必要となり、弊社で長きに渡って提供している製品が活用されています。アメリカは半導体の工場は少ないものの、近年は大手IT企業が自社で半導体の開発を手がけていることもあり多くの開発拠点があります。IOTや自動運転など半導体デバイスが重要な役割になるにつれ高性能化が求められ、同時に高性能なものを作るために高性能の光が必要になります。こうした世の中の変化とニーズに対応していくために、最先端の企業と一緒に考えながら研究を重ねています。
3つ目は新事業である無害な紫外線です。
「人に当ててもよい紫外線」をニューヨークのコロンビア大学と共同開発し2018年に製品化しました。これまでの紫外線は人に当てると皮膚がんなどの原因となる有害なもののため、人がいない場所でのみ殺菌目的で使用されていましたが、この製品は飛行機の中や空港、駅など多くの人が行き交う場所などで使用することが可能です。(現在安全性の確認試験を実施中)更に、抵抗力の弱い方が多い病院などでも院内感染を防止するために活用できます。まずは生活文化の発信地であるサンフランシスコやロサンゼルスでどのように利用することができるかを模索している段階で、ゆくゆくは世界中で当たり前に使用されるものにしていきたいです。
Ushio Americaは家庭用のライトから工業用まで様々な光を扱っている企業ですが、販売拠点に留まらず最先端技術を開発していく拠点となることを目指しています。
日米のビジネスの違い
スピード
一般的にはアメリカは決断する際のスピードが早い。日本では様々な方の許可がいるので、どうしても決定が遅くなってしまいますね。
会議
日本で開催される会議は比較的参加者数も会議の回数も多いですね。アメリカでは立派な会議資料などは必要なく、いかに早く良い結論を出すかが重要ですので、少人数で可能な時にパッと会議を行い結論を出すケースが多いです。聞いているだけの人は参加せず、意見をする必要な人のみで行いますので効率的です。
自己責任
マネージャークラスの方は、いつ休みを取ってもどこにいても原則関係ありません。さらに極論ですが、どれだけ一生懸命やったかも関係ありません。結果が全てです。とはいいつつ、やはり仕事はチームプレーですので、いかにチームで働くことができるかももちろん重要になってきます。良いパフォーマンスができる方を採用し、継続して雇用できる環境を作ることが重要です。能力が高い方は常に現状に満足せず、次ぎの機会を求めています。社員と会社が共に成長できる、そのような魅力的な仕事のテーマ、事業内容を経営側がオファーできなければ継続的な成長はできないと考えています。いかに魅力的な会社、成長のシナリオを作れるか?が問われます。
進出希望者へのアドバイス
分かってもらう努力を惜しまないことが大切です。メールで伝えたからこれでわかるだろうと思わずに、言葉で伝わらなければ図に書いたり、2回言って分からなかったら5回言うなど、現場に対しても日本側に対しても分かってもらう努力を惜しまないことです。日本語同士でさえ分かり合えないことがありますので、違う文化で異なる言語を使用するのですから簡単には分かってもらえません。何かしらの方法で理解してもらう努力をし続けることですね。
また、ぶつかることを恐れる必要はありません。日本の文化は、意見に反対すると仲が悪くなってしまうのではと、できるだけ意見が別れないように仲間を意識します。しかし、アメリカはそれでは前に進みません。意見が別れても決して仲が悪くなったりはしませんので、意見が違う時はしっかりとロジックを立てて戦うことで前進していきます。また、私は話し合った後にメモに書いて共有するようにしています。実際に文字にしてみると、お互いに誤解していることが結構ありますし、言葉では言えても図や文字にすると自分でもきちんと理解出来ていなかったことにも気がつくことができます。
最後に、ディベートの勉強をオススメします。私は学生時代にディベートをしていたのですが、エビデンスを用いての意見や、こう言われたらこう言い返そうと作戦を立てて臨む過程は日頃の業務に直結しています。例えば、会議でのアジェンダに沿ってどの資料をもとにいかにわかりやすく伝えるかというロジカルシンキングや、発言の際には 最初の3秒以内に何を言おうとしているかの結論を言えるようにする訓練などは役立つと思います。もちろん会話の全てが全てディベートではありませんが、その基本形を知っておくことが大切ではないでしょうか。
今後の展望
古くから行っていることは大事に維持継続しつつ、リソースを考えながらどこにフォーカスしていくかを決めていくことが今後重要になってきます。また、アメリカのビジネスは世界に広がっていきますので、アメリカのマーケットだけを意識するのではなく世界レベルでどう貢献していけるかを模索し、地域に囚われずどのようにグローバルで協力して発展させていけるかという視点で見ていく必要があると考えています。
USHIO AMERICA, INC.
■ホームページ:https://www.ushio.com/
■住所:5440 Cerritos Avenue, Cypress, CA 90630
■電話:714-236-8600
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