シリーズアメリカ再発見㉗
イリノイ横断 ルート66

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

 

リンカーンが住んでいた家の周辺は国立公園として保存されている Photo © Mirei Sato

リンカーンが住んでいた家の周辺は国立公園として保存されている
Photo © Mirei Sato


Springfield
スプリングフィールド

 スプリングフィールドは、イリノイの州都というよりもリンカーンの街といった方がピンとくる。
 大統領になるまで17年間住んだ家がきれいに保存されていて、弁護士時代に働いていた法律事務所や、演説をした州会議事堂など、ゆかりの場所はたくさんある。

 リンカーンはひょろひょろと背が高い。6.4フィートの身長に、7インチのオーダーメードの山高帽をかぶっていたとか。

Photo © Mirei Sato

Photo © Mirei Sato

 リンカーン記念図書館&博物館に行くと、ひょろひょろっとしたフリッツ・クラインさんが入り口で訪問者を出迎えていた。

 フリッツさんは、スプリングフィールドの「リンカーンそっくりさん」を約40年もやっている。ナショナル・ジオグラフィックなどでリンカーンの特集をする時には必ず声がかかる。全米に大勢いるそっくりさんの中でも人気は断トツだ。背格好が似ているだけでなく、歳月が刻んだ知恵と重み、苦悩に加えて、若さも感じさせる顔立ちなのが、いい。

 国を二分して、建国の矛盾、奴隷制を問うアメリカ。論争と非難が渦巻いた時代を考えるのにふさわしく、博物館は展示も充実している。

 黒人奴隷解放を説くリンカーンを「アフリカの王」と揶揄し、大衆の恐怖をあおるためにつくられた出版物も展示されていた。オバマを「ケニア人、イスラム教徒」と流布する人々と同じ。今も200年前も、アメリカはあまり変わっていない。

 歴史が短かろうとも、過去を知り、過去から学ぶことが、今も続く問題を理解するのに不可欠だと考えるアメリカ人。リンカーンの史跡には、毎日のようにスクールトリップで子供たちがやってくる。

 ???

 歴史散策に疲れたら、ルート66に戻って、「なぜ?」と突っ込んでも意味がない、名所・名物の散策へ。ロードサイドに立っている、「マフラー・マン」の人形を見に向かう。もとはタイヤを右手で抱え持って立っていたそうだが、今は軽い国旗を手にしている。

 続いて、「コージー・ドッグ・ドライブイン」へ。普通のコーンドッグなのだが、ソーセージを3本しっかり棒にさして固定して、同時に粉につけて揚げるための特別なツールを、創業者のエド・ウォルドマイヤーさんが考えだした。

 現在は、孫のジョシュさんが経営。ルート66のメモラビリアがぎっしりの店内は、世界中から来る旅行者でいつもにぎわっている。
 ポンティアックの街にある「スクールバス」の持ち主、ボブ・ウォルドマイヤーさんは親戚だ。

(左)創業者の孫、ジョシュ・ウォルドマイヤーさん(右)3本のソーセージを固定していっぺんに揚げるのがこの店の「特技」 Photos © Mirei Sato

(左)創業者の孫、ジョシュ・ウォルドマイヤーさん(右)3本のソーセージを固定していっぺんに揚げるのがこの店の「特技」
Photos © Mirei Sato


旅の参考情報

Abraham Lincoln Presidential Library and Museum
www.alplm.org

    

Springfield Illinois Convention & Visitors Bureau
visit-springfieldillinois.com

    

Cozy Dog Drive In
www.cozydogdrivein.com

(左)店の「ゆるキャラ」、抱き合って踊るコーンドッグは、仲の良かった祖父と祖母がモデルだとか(右)味は、普通のコーンドッグ Photos © Mirei Sato

(左)店の「ゆるキャラ」、抱き合って踊るコーンドッグは、仲の良かった祖父と祖母がモデルだとか(右)味は、普通のコーンドッグ
Photos © Mirei Sato


 


 

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