シリーズアメリカ再発見㉗
イリノイ横断 ルート66

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

 

オリジナルのレンガ舗装道が残る「ブリック・ロード」 Photo © Mirei Sato

オリジナルのレンガ舗装道が残る「ブリック・ロード」
Photo © Mirei Sato


Litchfield
リッチフィールド

 スプリングフィールドを過ぎると、イリノイ州のルート66の半分を走り終わったことになる。

 スプリングフィールドからリッチフィールドへ向かう途中に、ルート66ファンがあこがれる「ブリック・ロード」がある。1931年に完成したオリジナルの道。手で敷きつめた赤茶色のレンガが、どこまでも続く。周りはトウモロコシ畑。目をつぶれば、オズの魔法使い、ドロシーの気分だ。

 「実際には、ルート66というのはもう存在していない。すべてが『センチメンタル』なんですよ」

 「イリノイ・ルート66・シーニック・バイウエー」の事務局長、ビル・ケリーさんは言う。オリジナルのままで舗装された道は、ほとんど残っていない。だいたいは新道やバイパスで切断されてしまった。

 「もし誰も保存しなければ、見せるものはほとんどない。だからこそ一生懸命、保存運動をしているわけなんですがね」
 シカゴで生まれ育ったビルさんは、1955年に初めてルート66を旅した。シカゴからアリゾナまで。すぐにその魅力にとりつかれた、という。

 ルート66が存在していないのなら、私たちが走っている道は一体なんなのか。旅の目的地は、どこになるのだろう?

 「ルート66とは、『road of mythology』(神話の道)だ、とぼくは思っています。この道に魅かれて旅をし、そこに住み、思い出を語り継いでいく人たち。それこそが、ルート66なんです」


旅の参考情報

Litchfield Museum & Route 66 Welcome Center
www.litchfieldmuseum.com

リッチフィールドにある、ルート66博物館 Photo © Mirei Sato

リッチフィールドにある、ルート66博物館
Photo © Mirei Sato

    

The Ariston Cafe
ariston-cafe.com

リッチフィールドのルート66博物館の前にある「アリストン・カフェ」。1924年創業。ルート66沿いで一番古いカフェという評判。デザートが美味しい Photo © Mirei Sato

リッチフィールドのルート66博物館の前にある「アリストン・カフェ」。1924年創業。ルート66沿いで一番古いカフェという評判。デザートが美味しい
Photo © Mirei Sato

    

Henry’s Ra66it Ranch
www.henrysroute66.com

(左)リッチフィールドの南西、Stauntonにあるロードサイド店「ヘンリーズ・ラビット・ランチ」。廃車が地面に突き刺さり、ウサギが走り回る、奇妙な場所(右)オーナーのリック・ヘンリーさん、愛兎と一緒に Photos © Mirei Sato

(左)リッチフィールドの南西、Stauntonにあるロードサイド店「ヘンリーズ・ラビット・ランチ」。廃車が地面に突き刺さり、ウサギが走り回る、奇妙な場所(右)オーナーのリック・ヘンリーさん、愛兎と一緒に
Photos © Mirei Sato


 

Photo © Mirei Sato

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