移民法に関する新情報
文/デビッド・シンデル(Text by David Sindell)
- 2015年9月20日
米国出国者の
生体データ採取開始
米国の出入国管理を行うCBP(Customes and Border Protection)は、米国を出国する外国人旅行者の生体データ採取を開始したと発表しました。米国を出国する外国人旅行者から、指紋とパスポート情報を専用の手持式機械で読み取り、その旅行者が米国に入国した際に採取されたデータと照合して本人確認を行うというものです。
現時点ではアトランタ国際空港でのみ実施されていますが、今秋までに、シカゴ、ダラス・フォートワース、ヒューストン、ロサンゼルス、マイアミ、ニューアーク、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントン・ダレスの各空港でもテストを開始するとのことです。テストは来年6月まで行われ、採取されたデータとその解析をもとに、将来の出国管理における生体データ採取システム構築に役立てる模様です。
SEVP
2015年5月29日から有効となる新しいSEVP(国務省)規則により、F-1やM-1の家族ビザ(F-2やM-2)で滞在する外国人が大学や専門学校へ通学することが許可されることになりました。
これまで、学生(F-1やM-1)ビザの同行家族は学位を取得できないコースでないと、履修することが許されていませんでした(小・中・高等学校へ通うF-2やM-2ビザの子供たちは、フルタイムで通学することが可能です)。ただし、SEVP認可を受けている大学・専門学校であること、フルタイム学生でないこと(取得するクレジットが1学期12クレジットを超えないこと)などの制約があります。
プレクリアランス
2015年5月29日、アメリカ国土安全保障省は、アメリカへの出発前に、アメリカ国外の空港内でアメリカ入国審査を行う(プレクリアランス)対象国を増やす予定であると発表しました。新しく対象となる国は日本、ベルギー、ドミニカ共和国、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、トルコ、イギリスの9カ国です。現在、国土安全保障省は各国と交渉しており、交渉が成功した場合には、これらの国からアメリカ行きの直行便に乗る搭乗者全員に、各国からの出国前に空港内でアメリカの入国審査が行われることになります。
今回の発表では、渡米する前にアメリカの入国審査を行うことで、テロ対策の他、アメリカ入国手続きの円滑化、アメリカと各国間における商工業の利便性など、さまざまなメリットがあります。現状では既にカナダなど6カ国でプレクリアランスが実施されており、昨年度は約160万人の旅行者の審査が行われました。国土安全保障省のジョンソン長官は、よりスムーズな入国審査と航空安全、さらに国土安全保障のためには、各国との協力が必須であり、今回のプレクリアランスが実現すればアメリカと各国の両方にとって有益であると、前向きに交渉を進める意志を示しました。
アメリカと日本の間でプレクリアランスの交渉が成功した場合には、成田空港が対象空港となります。成田空港でのプレクリアランスの契約が成立されるまでは、まだ長い道のりが想定されるでしょうが、早い実現を期待したいものです。
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