演技派の競演を堪能「99 Homes」
文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)
- 2015年10月5日
「Revolutionary Road」(2008年)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたマイケル・シャノンは、演技派として着々とキャリアを築いてきた俳優。一方、映画「The Amazing Spider-Man」のタイトルロールに抜擢されたアンドリュー・ガーフィールドは、イギリス育ちの若手で、実力派として英米両方の芸能界で注目を集めてきた。2人の圧倒的な演技対決が楽しめるのが本作だ。
不動産業者のリック(シャノン)に、銀行の差し押さえとなった自宅から立ち退くよう言い渡されたデニス(ガーフィールド)。わずか2分だけ猶予を与えられ、取るものも取りあえず追い出された家の前で途方に暮れていると、家財道具を住居から出すリックの雇い人が盗みを働いているのをデニスは目にする。リックにクレームを言いに行った彼は、逆に雇われることに。やがて、リックの右腕として、差し押さえとなった物件から住人を追い出す仕事をするようになるデニス。悪魔に魂を売る生活を「家族のため」と自分に言い聞かせるのだが……。
親の貧乏生活を見た反動で金の亡者となったリックの冷血さと、わずかに残る道徳心との葛藤を見事に演じきったシャノン。「家族のため」に道徳心をかなぐり捨てて、苦い思いを押し込めるデニスの複雑な心を繊細に体現したガーフィールド。2人の競演の見応えは、実際にあった出来事をベースに、立ち退きを経験した人々も出演して制作された本作にさらなる迫力を与えている。
Special thanks to Megan Zehmer / 42 West, Gabriela Zapata / Sunshine Sachs, Margaret Gordon
/ PMK•BNC, Michele Robertson / Michele Robertson Company
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