ハリウッドの内幕を痛快に描く

文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)

Photo by Hilary Bronwyn Gail © Bleecker Street

Photo by Hilary Bronwyn Gail
© Bleecker Street

 共産党関係者を排斥する運動、赤狩りが活発化する中、1940年代後半、ハリウッドで活躍する監督や脚本家、俳優の中で共産党と関係があるとされる人物10人がリストアップされる。その中に売れっ子脚本家ダルトン・トランボの名前があった。投獄やハリウッドからの追放を経験しながらも偽名や友人名義を使って「Roman Holiday」などの名作を次々と執筆したトランボの半生を描いた「Trumbo」。家族や友人との関係、彼の信念や業界の内幕を、ユーモアを交えながら丁寧に語る本作は久々に観た痛快な力作だった。トランボをはじめ、カーク・ダグラスやジョン・ウェインら、実在のオスカー受賞者らがキャラとして登場するが、彼ら同様、本作の出演者や制作陣もオスカーを手にする可能性大と筆者は予想する。実際に起きたことではあるけれど、クライマックスとなるダグラスの「Spartacus」の脚本のくだりにはうなってしまった。

 トランボに扮するのは、コメディーとドラマの両方のジャンルでエミー賞を賑わしてきたブライアン・クランストン。本作でアカデミー賞も賑わしそうだ。トランボ夫人役のダイアン・レイン、長女役のエル・ファニングの熱演も見逃せない。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

ライタープロフィール

島根県松江市出身。映画ジャーナリスト・神主。NHKなどのアナウンサーを経て、映画・TV記者に。取材したセレブはのべ5000人以上。スターのインタビューや写真を全世界の媒体に配信する通信社Hollywood News Wire Inc. を経営 (一部をWhatsUpHollywood.comに掲載。動画インタビューはUTBでも放送中!!)。ハリウッドと日本の架け橋としてHollywood-PRを立ち上げ、PR・マーケティング、コンサルタントとしても活動中。
実家が神社(出世稲荷神社)なので神主の資格を持つ。島根県ふるさと親善大使「遣島使」。著書:TV『24』公式解説本『メイキング・オブ 24-TWENTY FOUR-』(竹書房)

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 2025年6月4日

    ユーチューバー
    飛行機から見下ろしたテムズ川 誰でもギルティプレジャーがあるだろう。何か難しいこと、面倒なこ...
  2.        ジャズとグルメの町 ニューオーリンズ ルイジアナ州 ...
  3. 環境編 子どもが生きいきと暮らす海外生活のために 両親の海外駐在に伴って日本...
  4. 2025年2月8日

    旅先の美術館
    Norton Museum of Art / West Palm Beach フロリダはウエ...
  5. 約6億年も昔の生物たちの姿が鮮明に残るミステイクン・ポイントは、世界中の研究者から注目を集めている...
  6. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040」を自身...
  7. ニューヨーク市内で「一軒家」を探すのは至難の業です。というのも、広い敷地に建てられた一軒家...
  8. 鎌倉の日本家屋 娘家族が今、7週間日本を旅行している。昨年はイタリアに2カ月旅した。毎年異...
ページ上部へ戻る