秋の味覚、ダンジネス・クラブ
神経毒の脅威で解禁遅れか?

Photo © Dungeness crab

Photo © David Parker

 サンフランシスコの秋の味覚、ダンジネス・クラブの漁のシーズンが始まったが、今年は神経毒への懸念により、解禁が遅れそうだ。
 11月2日付サンフランシスコ・クロニクルの記事(“Toxic bloom puts Dungeness crab season start in doubt”)によると、当初はレクリエーション漁の解禁は11月7日で、サンフランシスコ・ベイエリアの商業漁の解禁は同15日に予定されていた。
 しかし、8カ所のベイエリアの港から集められたカニのドウモイ酸の検査結果によって、解禁日が遅れる可能性が浮上した。ドウモイ酸は神経毒で、記憶障害や麻痺、最悪の場合は死に至るケースもある。
 エルニーニョ現象による海水の温暖化で、海洋プランクトンのプセウドニッチア属(ドウモイ酸を生産するケイ藻を含む)が大量に発生した。ドウモイ酸は貝やそのほかの海洋生物に付着して育ち、食物連鎖に入っていく。
 こうした現象は常に起きているが、今年のような大量発生、かつ長期継続はかつてないことだという。
 被害を受けているのは、ダンジネス・クラブの漁師だけではない。今年のイワシ漁は、個体数が急減したため、5月に緊急中止となった。
 10月末にはアメリカ海洋大気圏局(MNFS)が、数百万ものキングサーモンの稚魚および卵が、干ばつによる水温上昇により、サクラメント川で死んだと報告している。
 また、ドウモイ酸の検出値が高いことを理由に、カリフォルニア公衆衛生局は、サンタクルズ、モントレー、サンタバーバラの各郡で、レクリエーション漁で収穫した二枚貝(ムール貝、アサリを含む)、またレクリエーションおよび商業漁で収穫したアンチョビやカニを食べないよう警告している。夏にはワシントン州でも同様の理由により、ダンジネス・クラブ漁が禁止された。

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