ロサンゼルスの非営利団体「敬老シニアヘルスケア」(通称「Keiro」)の施設売却問題をめぐって、反対運動を展開している「敬老を守る会」(=Save Keiro、ジョン・カジ代表)は、カリフォルニア州のカマラ・ハリス司法長官あてに売却差し止めを求める請願書への署名が、10月31日までに、5000人分以上集まったと発表した。
守る会のウェブサイト(savekeiro.org)を通じて署名されたものと、用紙を回して手書きで集められたものの合計だ。手書きで署名をしたものについては、まだ用紙が会に届いている最中で、総署名数はさらに増える見込み。

2011年6月、敬老の創立50周年を祝って完成した壁画。ボランティアへの感謝の気持ちが込められていた
Photo © Mirei Sato
敬老は1961年の創立以来、延べ13万世帯に、高齢者向けの医療や福祉サービスを提供してきた。現在は、ロサンゼルスの歴史的日系人街「リトル東京」から遠くないボイルハイツとリンカーンハイツ、そして日系人口が多いガーデナで、老人ホームなど計4つの施設を運営する。
日本語や日本食、日本文化に特化したプログラムが人気だ。多くのボランティアと日系社会からの寄付金によって支えられてきた。
しかし、医療費の高騰や日系社会の人口変遷、経営難などを理由に、理事会が売却を表明。今年8月、非日系の不動産業者に売られることがほぼ確実となった。(*詳しくは、フロントライン10月26日付の記事「[敬老・売却問題]反対署名集め、ロサンゼルス日系コミュニティーが運動開始」を参照)
有志でつくる「守る会」は、日系社会に対する事前の十分な説明がなかったことに不信感を抱き、敬老側が売却の根拠にしている理由についても正当性がないとして、売却を阻止すべく運動している。
より多くの人に問題を認識してもらい、賛同者を広げて、運動のうねりをつくるため、「10月31日までに1万人」という中間目標を掲げて、10月上旬から署名を募っていた。
1万人という数字にはまだ達していないものの、1カ月弱でこれだけ多くの反対署名が集まったことに勇気を得て、署名活動を継続し、さまざまなプレッシャーをかけていくという。
10月29日には、会のメンバー4人が在ロサンゼルス総領事館を訪問し、堀之内秀久総領事と面会して、売却阻止に力を貸してもらえるよう陳情した。
また、守る会は、敬老の創設者の一人で、唯一生存している、フランク・オマツ(大松)さんにインタビューし、ウェブサイト上でそのビデオを公開した。売却について「とんでもないことだ。憤りを感じる」と語り、創設時の苦労などを振り返るオマツさんの声を、紹介している。
敬老の売却問題をロサンゼルスの日本語メディアが徐々に報じ始めたことから、全米各地の日系社会にも反響が広がり出している。ニューヨークやコロラド、シカゴなどの日系団体や、寄付やボランティアで敬老とかかわりのあった個人らからも、「見過ごせない」「他人事ではない」という声があがっている。
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署名できるウェブサイト:
savekeiro.org(英語)
jp.savekeiro.org(日本語)
*賛同して署名するのは、ロサンゼルス在住者でなくても構わない。名前など必要な事項さえ記入すれば、ほかの州や日本に在住でも構わない
*守る会の署名活動は、敬老の売却中止が決まるまで続く
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敬老がウェブサイトで公開している、売却に関する経緯など:
敬老・売却問題に関するフロントラインの過去の記事はこちら:
⚫︎2015年10月26日「反対署名集め、ロサンゼルス日系コミュニティーが運動開始」
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