前回のコラムで、アメリカ国外に再入国許可なしで1年以上滞在し、グリーンカードが放棄されたとみなされた際の帰国居住者ビザ(SB-1)についてお話しました。今回は引き続きSB-1申請のステップについてご説明します。
まず、アメリカ国外に長期滞在せざるを得なかったことを説明できる証拠を検討します。SB-1申請においては、理由を実証するための証拠が非常に重要になります。
次に、アメリカ大使館・領事館へ提出する請願書フォームDS-117を準備します。アメリカへ戻る予定日より少なくとも数カ月前には、請願書、証拠書類および申請費用を提出するようにしましょう。申請の一環として面接が行われるので、大使館のウェブサイトで面接の予約をします。
最後に、請願書が受理されたら、大使館より必要書類の準備についての案内が届きます。申請者は移民ビザ申請のためのフォームDS260、医療記録・予防接種記録等を提出し、面接を行います。面接では、なぜ申請者がアメリカ国外に1年間以上滞在しなければならなかったのか、その理由や状況に焦点が当てられます。許可されれば、大使館・領事館が申請者のパスポートに新しいI-551(グリーンカード)のスタンプを押し、申請者のアメリカへの入国を許可されます。
SB-1申請が拒否されてしまった場合、資格がまだある場合は、新たなグリーンカードを一から申請することが可能かもしれません。また、非移民ビザ(H-1BやBビザ等)の申請を検討することになるでしょう。
SB-1許可なしに旅行したらどうなるのでしょうか? 再入国許可なしにアメリカ国外で1年以上過ごし、帰国居住者ビザを申請せずに、お持ちのグリーンカードを使って再入国しようとする方もいます。多くの場合、入国ポートにて、アメリカの国境警備局に海外での長期滞在について問われ、結果的にはグリーンカード放棄に基づいて国外退去の手続きが取られてしまいます。
一方で、すんなりとアメリカに入国できてしまうケースもあります。ただし、例え一度は入国できたとしても、それでグリーンカードの放棄問題が解決されたわけではありません。何年か後で、アメリカ政府がグリーンカードが既に放棄されていたとみなし、その時点でグリーンカード保持者を国外退去処分とする可能性はあります。もちろん一番良いのは、長期滞在の可能性がある場合は出国前に再入国許可書を取得することです。すでに再入国許可なしでアメリカ国外で1年以上滞在された方は、帰国居住者ビザなしに入国を試みることはお勧めできません。まずは、再入国を図る前にあなたの状況や証拠を見極めるために移民専門弁護士へ相談しましょう。
※本コラムは顧客からの質問を一般的なケースに書き換えたものであり、読者への情報提供を目的としたものです。特定事例における法的アドバイスが必要な場合は、専門家に相談してください。
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