勢い vs. 慎重さ

『なぜ』このツール、この方法、このタイミング?など、オンラインビジネスやデザインの世界を一歩踏み込んで考えます。

Appleのマーケターとして知られるGuy Kawasakiさんのスピーチの中にこんなフレーズ がありました。

『Don’t worry, Be crappy』

これは、あの名曲のフレーズ『Don’t worry, Be happy』を捩ったもので、Crappyでもいいから、心配ばかりせずとにかくリリースしてしまおうという意味が込められています。

当然、Crappyなものを作ろうとすす めているわけではありません。始めから完璧なものなんて作れないし、完璧を求めるゆえにいつまで経ってもリリース出来ず、結局はタイミングを逃してしまった、或いは他社に先を越されてしまった、という結果にも繋がりかねないのだから思い切ってスタートさせちゃおう、という考えです。

iMac、iPod、iPhoneなど、画期的なアップル製品 も、ファーストジェネレーションにはバクや不具合がつきものです。冷蔵庫や自動車などの革命的な製品には、リリース時には必ず何らかの欠陥があり、ユーザーの声を取り入れながら改良を重ねていくものです。

Webページやアプリの開発においても、リリース時には勢いと慎重さの両方が問われますが、やはり最終的には多少の思い切りも必要になります。とはいえ、訴訟大国であるアメリカでビジネスを行う以上、その勢いがサービス全体、ひいてはビジネス全体の命取りとなってしまうリスクも秘めています。

最近、モバイルサイトでメニューアイテムをカスタマイズしてオーダー出来るオンラインシステムを開発しました。クライアントさんも完成したWebオーダーシステムを気に入って下さり、リリースを目前に控えた段階で、やはり訴訟のリスクを考えると今スター トするのがリスキーと判断、リリースを先延ばしすることに。石橋を叩いて渡るクライアントさんと、とにかく突っ走るクライアントさんと、ビジネスセオリーは会社によって異なります。

特にこれまで前例のあまりないものをリリースする場合はとかく心配がつきもので、その気持ちもよくわかります。

しかし開発に携わった者としては、何かトラブルが起きたらどうしようと思うより、早くリリースして実際に活用して欲しいという思いの方が強いというのが本音です。

できる限りリスクを回避し、問題が起こらないように努めても、実際に問題やクレームが起こるのは、システムそのものではなく、実際の担当者の回答が間違っているとか、従業員の対応が気に入らないとか、人的要因だったりすることも多いものです。

新しい事業を進める場合において、ある程度のリスクをとる覚悟は必須条件ですが、加えてとにかく待つのが嫌いなビジネスオーナーは、次々と新しいものをリリースし続けているという印象を受けます。

制作側の視点からもう一点、リリースが遅くなるとそれだけ収益見込みも遅れるということなので、早くリリースしてしまう方がベターという考えもあります。

デマンドのあるうちに、やる気のあるうちに、Freshなうちに、細かいことは考えずにリリースしてしまおうというAppleマーケティング的発想、いかがでしょうか。

 

Universal Mobile

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

Mieko Murao

Mieko Murao

ライタープロフィール

2001年株式会社グラフネットワーク設立。2011年に拠点をアメリカに移し、グラフネットワークアメリカ支社を設立。Web制作業務だけでなく飲食店の経営やプロデュースなどを経験し、企業や飲食店のバックエンドシステムの構築、アプリの開発など “よりビジネスを効率良く” するためのツールを企業の要望に応じて提供。多くの日系企業のIT化に一役買っている。子育てと仕事の傍ら、MITのIntegrated Design and Management修士課程プログラムにて、Human Centered Designを研究中。また、ボストンにて日本の生活用品を紹介し、新しい消費スタイルを提案するCrand and Turtleという小売店プロジェクトも展開している。

Graphnetwork, Inc. (USA) Founder, CEO
Graphnetwork, Inc. (Japan)  Co Founder, Former CEO
Crane and Turtle  Owner

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

Universal Mobile
資格の学校TAC
アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用
Universal Mobile

注目の記事

  1. 自動車保険への加入はアメリカのほとんどの州法で義務付けられていますが、the Insuran...
  2. ニナが進学したカリフォルニア大学からは、「ペアレントナイト」といったタイトルのバーチャルイベ...
  3. ワシントン州の北西部、オリンピック半島に位置するオリンピック国立公園。約100万エーカーもの...
  4. 気温の上昇とともに紫外線量も多くなる春先は、メラニンが過剰に生成され、日焼け、シミ、そばかす...
  5. 2021年4月6日

    じゃあ、またね
    私たちは皆それぞれ趣味を持っている。コロナ禍の巣ごもり生活の間に、鉢植えやベランダ菜園を始め...
  6. No.1 グレイシャー国立公園 Glacier National Park モンタナ州 ...
  7. 今、「代替食品」への関心が世界中で急速に高まっている。今回、一個人の探究心から始まり、斬新な...
  8. ルイジアナ州の北東、延々と広がる田園風景の中に、ぽつりと静かに佇む遺跡がある。かつてアメリカ...
ページ上部へ戻る