腸内フローラとプロバイオティクス
- 2017年9月4日
- 2017年9月号掲載
「腸内フローラ」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 腸内に存在する100兆匹もの微生物の様子がお花畑のようにも見えることから、微生物群である腸内細菌の環境をそう呼ぶようになった。腸内細菌には身体に良い影響を与えるものと、悪い影響を与えるものとがある。最近の研究の結果、その腸内細菌の状態が、ガンをはじめとする各種の疾病、肌の状態、さらにうつ病など精神疾患の発症にまで関係があることがわかってきた。数年前に「腸内フローラ」を特集したNHKの番組では、身体に良い影響を与える腸内細菌を取り込むことで健康状態が画期的に改善した患者の事例も紹介されていた。
良い影響を与える、いわゆる善玉菌はプロバイオティクスとも呼ばれる。その代表的なものには乳酸菌やビフィズス菌があり、ヨーグルトを摂取することで腸内フローラが整うとはよくいわれている。そこで少しでも善玉菌を増やすために、ヨーグルト以外のプロバイオティクス食品を紹介しよう。
ナチュラルチーズ
チーズの発酵は実はヨーグルトよりも強力。そして、腸内環境を整備するには乳酸菌や酵素が生きている、熟成したナチュラルチーズを摂取する必要がある。ナチュラルチーズの代表格はカマンベールやブルーチーズなどの「臭みがある」もの。さらにナチュラルチーズに牛乳や生クリームを混ぜて造ったクリームチーズには、乳酸菌に加えて牛乳に含まれる、整腸作用があるラクトースの効果も期待できる。一方、プロセスチーズは加熱の段階で乳酸菌が死滅してしまうので、整腸効果は期待できない。
ザワークラウト
ドイツ料理の付け合わせとしてお馴染みのキャベツの塩漬け。このザワークラウトに感じられる酸味は、発酵で生まれる乳酸菌によるもの。乳酸菌が腸内を整備してくれるだけでなく、胃腸の粘膜の修復を促進する働きがあるキャベツとの相乗効果で腸はより綺麗に生まれ変わる。
コンブチャ
アミノ酸やポリフェノールなどを含み、アンチエイジングのドリンクとして知られるコンブチャ。日本では一昔前に「紅茶キノコ」という名称の健康飲料として大流行したが、アメリカでは現在も多数のメーカーが手掛け、そのトレンドは続行中。紅茶にスコビーという菌を入れた発酵飲料として、消化系に良い酵素や乳酸菌を豊富に含む。
キムチ
韓国発の発酵食品といえばキムチ。キムチに含まれる乳酸菌は非常に強力なことが知られているだけでなく、唐辛子に含まれるカプサイシンには脂肪燃焼効果もある。腸内を綺麗に整えると美肌にもつながることから、韓国人女性の美肌の秘密はキムチにあり、ともいわれるが、塩分が多いため食べ過ぎは高血圧のリスクを生むことも知っておきたい。
味噌
味噌に含まれる植物性乳酸菌は生きたまま腸までたどり着く。乳酸を腸内で放出して弱酸性の環境を保つことで腸内のバランスが取れる。また、味噌に含まれるオリゴ糖は善玉菌の栄養となり、善玉菌を増やす作用がある。さらに消化を促進する酵素も含まれるほか、抗酸化作用があるメラノイジンの助けでアンチエイジングも期待できる。より強力なプロバイオティクスを取り込むために、だしの代わりに、味がマイルドになるヨーグルトを入れた味噌汁もおすすめ。ヨーグルトと味噌の乳酸菌の力で腸内フローラを綺麗なお花畑に変えてくれるかも。
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