REPORT
乳がん早期発見啓発セミナー Part1

日米両国に在住の日本人女性に、乳がんに関する情報を発信し続けている非営利団体BCネットワーク。同組織主催による乳がんの啓発セミナーが9月17日、ロサンゼルス郊外のガーデナで開催され、80名の参加者を集めた。講演内容をダイジェストでお届けする。

「乳がん早期発見:検診、家族性、告知、そして治療へ」
キャロル西久保医師

サンタモニカのプロビデンス・
メディカルの腫瘍内科医、西久保医師
Photo © Keiko Fukuda

 乳がんは70年代、80年代には日本人女性には珍しい病気でした。しかし、時代は変わり、発症率が増加、その理由はまだ明らかになっていません。年齢がいくほど乳がんの発症率は上がります。日本在住女性のデータを見ると40代から50代がピーク、アメリカ在住の場合は50代から60代がピークとなっています。

アメリカの女性がかかるがんの1位は乳がん、アジア系アメリカ人のデータでも乳がんが1位です。遺伝、食生活、大豆、アルコールの摂取状況、ライフスタイルなどのリスクファクターのコンビネーションで発症するといわれています。

また、日本にいる日本人女性より欧米に来た日本人女性の発症率が高い原因は、食生活の違いではないかと推測されています。大豆を摂ると予防できるか、とよく患者さんに聞かれますが、エビデンスが弱く断言できません。

過去の論文を紹介しましょう。パン、肉、乳製品中心の欧米型食生活のグループ、伝統的な日本の食事である魚、漬物中心のグループ、野菜とフルーツ中心の健康的な食生活のグループに分けて、4万人を対象にした研究を数年間日本で実施しました。その結果、欧米型の食生活をしている人の乳がん発症率が高いという結果になりました。

ところが、2017年1月に発表された、2万3000人の日系アメリカ人を対象とした論文ではまったく逆の結果が出ました。野菜中心、動物性の食事、さらに乳製品のグループに分けて調査した結果、動物性の食事をしている人の乳がんの発症率が低かったのです。

さらに、看護師にどのような食生活を送り、どのような病気を発症したかについて追跡調査を行った結果、地中海料理を食べている人の発症率が低いことが分かりました。地中海料理の特徴は野菜、フルーツを多く摂ることです。

アルコールと乳がんの関係についてもよく聞かれます。2012年の調査結果では、1日に5グラム以上のアルコール摂取で乳がんのリスクが上がりました。飲まない人よりも実に32%上がります。ワイン1杯でも5グラム程度ですから、週に2、3回の少量のアルコール飲料ならいいのではないかと思います。

マモグラムの推奨基準は日米で違います。日本は40歳以上だと1、2年ごとに1回。アメリカは50歳以降に2年に1回。以前は毎年やることになっていましたが、リスクのない人には2年おきでいいのではないか、と考えられています。
治療法も変わってきています。乳房切除が標準的ではありますが、年齢やリスクにより治療法は異なります。将来的には病院に通わなくても治療できるように内服薬が開発されているところです。

乳がんは早期発見、予防が重要。アルコールを適度に、運動もして、マモグラムのスクリーニングを定期的に受けること。早期に発見すれば完治する病気であることを強調したいです。

「私の乳がん治療奮闘記」

井村紀子さん

 ステージ2の乳がんを昨年発見しました。昼寝をしていた時に腕に硬いものが当たったので、インターネットで調べた後、日系の外科医に受診に行きました。細胞検査の数日後、日系のドクターからの電話でUnfortunatelyと言われただけで結果が分かってしまいました。頭が真っ白になり、涙がボロボロ出てきましたが、次に一人息子のことを思い、生きなければいけないと病院選びを開始。サンタモニカのセントジョンズが近かったのでそこに決めました。

アメリカの場合、乳房の全摘と同時再建も勧められます。私も切除と同時に再建することにしました。5時間かかった手術の後、病院で目覚めた時は「生きててよかった」と感謝の気持ちでいっぱいになりました。そして、ドクターのチームから西久保先生を紹介され、ホルモン治療でピルを飲んでいます。副作用による痛み痒み、手のむくれはありますが、5年は飲まなければいけません。何も症状がない方でも2年に1度のマモグラム受診を勧めます。私がやったのは5年以上も前でした。

取材協力:BCネットワーク http://bcnetwork.org

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