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米国籍の人が日本に帰国して生活する場合、氏名はどうなるの?
- 2020年10月8日
老後の人生を日本で迎えるために帰国する人の中には、米国籍の方もいらっしゃるでしょう。今回はこうした方々が日本で生活する場合の氏名表記について紹介します。
1.日本での氏名表記
米国籍取得者(かつ日本国籍を放棄した者)が日本に3カ月以上滞在、居住する場合在留資格を取得する必要があります。日本入国後は在留カードが付与され各地方自治体で住民票登録することで、日本の各種行政サービス(医療・介護保険など)や民間サービス(金融機関、携帯電話など)を利用することが可能となります。この時在留カードに記載される氏名は英語(アルファベット)表記となり、以後住民票登録など公的な手続きにはこの英語名が使われます。一方、公的でない、たとえば商業施設(スーパーなど)のメンバーズカードやインターネットサービスの会員情報など、民間業者が独自に運営しているものについては米国籍取得前の日本名(漢字、ひらがな)でも問題ありません。つまり会員登録に住民票が必要となるきちんとしたサービスは原則英語名が必要ということになります。
2.通称名として日本語名が使える
ここで、元々日本国籍であった人の中には以前の日本語名のほうが都合が良いケースもあります。たとえば、米国籍取得後も日本語名を使ってビジネス活動を継続していたケースなどです。その場合、本来の英語名とは別に日本語の通称名を登録し、使用することができます。
例として、以前日本で暮らしていた山田太郎さんが渡米し、10年後米国籍を取得し(同時に日本国籍も放棄)「Taro Yamada」になります。その後、老後を日本で暮らそうと思い在留資格を取得して日本へ帰国すると、付与される在留カードや住民票の名前はYamada Taroになります。この時、山田太郎の名前を使って以前からビジネス活動を継続しているなど、一定の必要性が認められると「山田太郎」を通称名として申請し使用することができます。
一定の必要性についてはビジネス活動を例に取り上げましたが、そのほか米国籍取得前、つまり日本語名で交わした個人間の契約(金銭貸借契約、不動産に関する契約など)が存在する、料金の支払いが発生する会員サービスを日本語名のまま継続している、といった社会生活上の活動が含まれます。
したがって、日本語名の方が個人的に気に入っているなど、一定の必要性が認められない理由では通称名の申請はできません。芸能人が使用する芸名やペンネームも通称名とは異なるものです。
3.通称名が表記されるケース
在留資格を取得して日本で居住する場合、在日外国人の証明書類として米国パスポート(英文)と法務省が発行する在留カード(英・和文)を保持しますが、これらには通称名は記載されません。一方、各市町村役場で登録する住民票には、本来の英文氏名の他に通称名を併記できます。日本では各種行政手続き(年金、社会保険など)や銀行、携帯電話の新規契約には住民票が必要となりますが、住民票に通称名が併記されていれば通称名での手続き、契約が可能となります。また印鑑登録証明書や運転免許証へも、本人の申請により本名、通称名の併記が可能となります。
4.通称名の登録手続き
居住する市町村役場で登録手続きを行います。前述の通り一定の必要性が認められるものでなければならないため、日常の社会生活上すでに使用していることが分かる書類の提出が求められます。具体的には下記のものから2点以上となりますが、各市町村役場によって認められる書類が異なるので、事前に電話で問い合わせることをおすすめします。
・除籍謄本(発行後6カ月以内)
・賃貸契約書
・現在の家を購入した時の売買契約書
・直近の確定申告書
・遺言書(親から自分へのもの。または自分がすでに作成したもの)
・各種税金の請求書など(不動産関連の税金、株式売却にかかる所得税など)
・光熱費(電気、水道、ガス)の請求書や領収書
いずれもコピーでなく原本の提示が原則です。
いかがでしょうか? もともと日本人の方であれば親が命名してくれた漢字、ひらがなの日本名は特別なもの。関心のある方はこうした制度の活用を検討してみてください。
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