さらに厳格化する移民局申請

文/デビッド・シンデル(Text by David Sindell)

移民局をはじめ、政府のビザの申請審査が年々厳しくなっている現状はこれまでも繰り返しお伝えしています。2017年10月23日に国土安全保障省より発表されたPolicy Guidanceによると、今後、ビザの延長申請においても審査がさらに厳しくなることを示すものとなりました。

このPolicy Guidanceは審査官など移民局職員全員への通達で、非移民ビザの延長申請の審査も最初のビザ申請時と同レベルでの審査を行うよう通達するものです。こちらは日本人の多くが保持するL-1やH-1B等も含む、ほぼすべての非移民ビザが対象となっているのです。

トランプ新政権が掲げる移民法改革のもと、移民局職員はその最前線に立っています。移民局ディレクターのFrancis Cissna氏も、今回の通達はアメリカ市民の労働を守ることにつながる方向性を明確にしているものだという見解を示しています。

今回の発表を受け、移民局審査官は、延長申請書を入念に審査することを指示されました。仮に延長申請の内容において職務内容などの雇用条件が最初の申請書の内容から変更がない場合においても、最初の申請審査と同様のレベルでの審査が必要で、最終結果は同じになるにしても、補足資料も含めて提出されたすべての申請書類の入念な確認審査が必要になったというわけです。

つい最近まで適用されていた移民局ポリシーでは、延長申請書を審査する審査官は、最初の申請書に明らかな間違いや詐欺等がある場合は別として、鍵となる内容に変更がない限りは最初の申請書を認可した審査官の審査結果を尊重すべきとなっていました。

このことから、延長申請も安心できない状況となり、今後は質問状発行の多発、審査の長期化、さらには却下の可能性も増えることが予想されます。

また移民局申請に限らずEビザなどアメリカ大使館での申請に関しても、トランプ新政権の掲げるアメリカ人労働を守ることを伺わせる審査結果も見かけるようになりました。

今後は延長申請も含め、政府に対するビザ申請はそのタイミングに合わせてより戦略的で、かつ時間に余裕を持っての申請書作りが求められます。さらには最悪の事態に備え、会社もビザの結果に対して柔軟に対応できる人事体制をとっておくことが重要となることでしょう。

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デビッド・シンデル (David Sindell)

デビッド・シンデル (David Sindell)

ライタープロフィール

NY州およびNJ州弁護士資格。外国法事務弁護士(外弁)として東京第2弁護士会所属。アメリカ移民法弁護士協会所属。日本語、フランス語に堪能。

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