祝・昇進! でも、未経験の分野。
さてどうしよう……

アメリカ、日本に限らず、一定の職場でそれなりの年数を重ねて勤務をしていると、「昇進」という一つの節目に当たる機会があるかと思います。今までの自分の業務が評価され、新たな責任とチャレンジが課せられる時。身も心も引き締まりますね。

さて、一言で「昇進」と言っても、大きく三つのパターンに分けられます。一つ目は、現行の部署・業務内で自身の管理責任範囲が増える場合(Aパターンとします)。二つ目は、現行業務から外れ、新たな部署・分野を管理する責任が発生する場合(Bパターン)。そして三つ目は、現行業務に加え、さらに新しい部署も見なければいけないという場合(Cパターン)です。

A、B、Cのどのパターンにおいても追加責任が発生するので大変なことには変わりありませんが、特に難儀なのがBとCです。何しろ、それまで自分がまったく関わったことのない業務に携わらなければならず、しかもそれを管理していかなければならないのですから。

今回はこのBパターンに着目し、僭越ながら私自身が実体験を通して学んだことをご紹介します。

私の専門分野は調達・購買関係でして、その線で10年程の時を経てAパターンの昇進を少しずつ繰り返してきました。ですが、ある時Bパターンに出会う機会がありました。それまでの調達業務からは一旦外れ、過去に自分がまったく関わったことのない、ビッグデータ分析・アナリスト管理の部署を担当することになったのです。

それまでの調達部では一からの叩き上げでやってきたので、基本業務から管理までのすべてを熟知しているとの自負がありましたが、異動した先はまったく未経験の部署。しかも、マネージャーとしてその部署を管理し、チームをリードしていかなければならない。一体どうしたものか……。日々の部内ミーティングに出席し、あたかも分かっているふりをするものの、頭の中では「???」でした。もはやAパターンの対応では通用しない。直観的にそう感じました。

最初の6カ月は手探りの毎日でしたが、最終的に私が出した結論は、「チームメンバーを信用する」ということでした。調達部時代は「自分が一番分かっている」というプライドがあるため、「マネージャーとして的確な作業指示を細かく出し、チームをリードしなければいけない」という思いに駆られていましたが、新部署ではそれが通じません。そもそも詳細を分かっていないのですから。そのため、細かい作業指示を出そうとする努力はやめ、最終的にどのような結果を目指していきたいのかをイメージし、それをチームメンバーに伝え、実作業は当人達に任せることにしました。

するとどうでしょう。最終的に、私自身が思い描いていたイメージよりも何倍も良いものが出来上がってきたのです。よく考えれば当たり前です。彼らは何年もその分野でやってきたその道のプロ。そもそも私の作業指示など必要としていません。ここでの私の任務は、細かい指示を出すことではなく、いかにアウトプットの最終形態を的確に伝え、フォローを重ね、望ましい結果へと導いていくかにかかっている……と学びました。

結局数年後には、このビッグデータ分析関連の部署に加えて調達部も再度管理することになったのですが、Bパターン時に学んだ教訓は、その後の私の姿勢に大きな影響を与えました。チームメンバーを「Trust(信頼)」し、「Empower(彼らの意思で業務を遂行する権限を付与)」するように切り替えたのです。結果的に調達部でも、私自身のイメージを何倍も超えた良いものが出来上がるようになりました。

未経験の部署管理という任務を与えられると、誰でもナーバスになりますよね。でも実は、ナーバスなのはチームメンバーも一緒。「バックグラウンドがまったく違う人が新しく上司になったが、どう対応すべきか」と向こうも考えています。焦らずに、そんな彼らとの日々のコミュニケーションを深め、信頼関係を築いていきたいですね。

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北村祐子 (Yuko Kitamura)

北村祐子 (Yuko Kitamura)

ライタープロフィール

在米23年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること20年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

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