専門家に聞く
帰国生受験の傾向と準備

Text by Keiko Fukuda(SAPIX 国際教育センター、駿台国際教育センター) Haruna Saito(ena国際部)

高校受験
High School

受験生に求められるもの

帰国生入試を行う高校の狙いについて、SAPIX国際教育センターの小森さんは 次のように語る。「日本ではできない経験を経てさまざまな価値観を持った生徒を受け入れることで、国内で育ってきた生徒たちにもグローバルな視野を身につけてもらいたいという意図はあると思います。また近年は、日本人学校ではなく現地校やインター校に在籍して、非常に高い英語力を身につけたうえで帰国する生徒が多くなっています」。

中学受験の項で触れたように、高校受験でも帰国生には英検準1級以上の取得が必要最低条件であると言える。ただし中学受験とは異なり、大半の高校では帰国生入試でも英語を含め一般入試と同じ筆記試験が課されるため、一部の難関校を除けば英検2級レベルでも十分だろう。また、英検のほかTOEFLやTOEICのスコアでも良いという学校もある。

「グローバルな視野」を身につけるため、アメリカ滞在中にどのような経験を積んでおいた方がいいかを小森さんに聞くと、「現地の方々との積極的な交流を図ること、異文化体験の機会があれば積極的に参加することです。帰国生に話を聞くと、海外では多様な習い事をしていたという生徒が少なくありません。スポーツのチームに入るなど、現地校以外の活動は重要だと思います」と課外活動への参加を挙げた。さらに、自己主張と同時に協調性も求められていると付け加えた。

受験資格に要注意

帰国生入試の要件は各校で異なるが、大半の高校は、受験学年の3月時点で義務教育9年に相当する課程を修了または修了見込でなければ受験資格は得られない。小森さんによると「欧米の現地校やインター校は9月開始で6月修了が一般的であるため、生まれ月によっては、3月の時点では9学年未修了であり、受験資格が得られないことになります。そのため多くの生徒は中学3年生になると、現地校やインター校から日本人学校に転入、または日本に帰国して公立中学校に転入し、受験資格を得て受験に臨んでいます」ということだ。

受験に向けての準備

海外の主要都市では、帰国生とその親を対象とした受験準備のセミナーが、学校や予備校の主催で開催される機会が多い。そのようなセミナーへの参加と、同じ地域から帰国受験した先輩から情報を得ることを小森さんはすすめる。

また中学入試同様に、一般生入試に比べて筆記試験の科目数や合格基準点などで優遇されていると思われがちだが、決して「帰国生入試であれば絶対に合格できる」というわけではない。「入学後、大半は一般生も帰国生も同じクラスで同じ授業を受けなければなりません。帰国生入試の優遇に安心することなく、一般入試でも合格できるだけの学力を身につけたうえで受験することが望ましいと言えます。理科や社会についても、インターネット環境の普及を背景に、現地滞在中からしっかり学習をして受験に臨むことができるようになったことは、『将来は日本の国公立大に』あるいは『大学は再び海外へ』といった志をもった生徒にとっては、追い風になっています」(SAPIX国際教育センターの小森さん)。

高校の帰国生入試・受験日程のパターン11~12月
ロンドン、ニューヨーク、シンガポールなどで入試を行う学校が増えている。現地滞在中に、そのような学校を受験する生徒も増加傾向に。
1月
中旬に千葉県内の私立高校(渋谷教育学園幕張、市川学園)、下旬に早慶附属高校の推薦入試や中央大学杉並高校の帰国生入試、国際基督教大学(ICU)高校の書類選考入試や青山学院高等部の帰国生入試を多くの帰国生が受験。
2月
男子の附属校志望者は早慶附属高校、進学校志望者は開成高校や筑波大学附属駒場高校、都立日比谷高校などを受験。開成高や日比谷高には帰国生入試の設定がなく5科目の一般入試となるが、毎年、多くの帰国生が合格を勝ち取っている。
女子は慶應義塾女子高校や早稲田実業高校、早稲田大学本庄高等学院のほか、 慶應義塾湘南藤沢高校や東京学芸大学附属高校、都立西高校や都立日比谷高校、豊島岡女子学園などが人気。

※首都圏であれば入試日程が重複しない学校も多いため、さまざまなパターンで受験することが可能。例年、出願数は平均7校。

提供:SAPIX国際教育センター

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